【Netflix】『人魚伝説』不条理のピタゴラスイッチの末に生まれた人魚

人魚伝説(1984)

監督:池田敏春
出演:白都真理、江藤潤、清水健太郎、宮口精二、宮下順子、青木義朗、神田隆、関弘子、江見俊太郎(江見渉)、榎木兵衛etc

評価:90点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今年の初めの方にclubhouseでオススメされた日本映画『人魚伝説』。Netflixにあることは前々から知っていたのですが、本業が忙しく中々観られなかった。夏休みなので観てみたのですが、これがめちゃくちゃ面白かった。狂い咲きサンダーロード』や『太陽を盗んだ男』に匹敵するパワフルなアクション映画でした。

『人魚伝説』あらすじ

夫を殺された新妻が一人で復讐のために権力に立ち向かっていく姿を描く。宮谷一彦原作の同名劇画の映画化で、脚本は「春画」の西岡琢也。監督は「天使のはらわた 赤い淫画」の池田敏春、撮影は「女猫」の前田米造がそれぞれ担当。

映画.comより引用

不条理のピタゴラスイッチの末に生まれた人魚

女性は男性よりも不条理な暴力に苛まれ苦しんでいる。その不条理のピタゴラスイッチを前半じっくりと時間をかけて描いていく。佐伯啓介(江藤潤)は海で殺人事件が起きていることを目撃する。心ざわつく彼は、妻・みぎわ(白都真理)と一緒に再び海に出る。妻が海底を調査していると、突如夫が殺され、ボートを何者かに奪われてしまう。命がけでなんとか浜辺につき、警察官に助けを求めるが、真剣に取り合ってくれずその口論の中で警察官は崖から落ちてしまう。彼女は傷害事件を起こしてしまうのだ。彼女は、知り合いの祥平(清水健太郎)に助けを求めて、スナックに匿ってもらうが、彼は暴力で彼女を自分のモノにしようとしていた。不条理による苛立ちと焦燥が再び、牙を向いた時、彼女は無敵の人となり、原発パーティにモリ一本で乗り込み大量虐殺を始める。

ひたすら男によって抑圧されたり不幸な目に遭う女性の復讐。映画という虚構の中で、狡猾な男たちを血祭りに上げていく。そのアクションは生々しく泥臭い。破壊的な身体的揺らぎの中で、確実に一人、また一人とモリで殺傷していく白都真理の怪演が凄まじく開いた口が塞がらない。

また、水の表現も非常に凝っており、水中から殺害を目撃した女性が水中で人を殺めるようになる逆転の演出はキラりと光るものがありました。こういった日本映画、最近観ないなと思います。

※映画.comより画像引用