北の橋(1981)
Le Pont du Nord
監督:ジャック・リヴェット
出演:ビュル・オジエ、パスカル・オジェ、ピエール・クレマンティ、ジャン=フランソワ・ステヴナンetc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
数年前に、映画仲間から「ジャック・リヴェットがIngressのような映画を作っていたのを知っているかい?」と言われた。『北の橋』、原題との差もなく無味乾燥なタイトルとなっている本作がどうIngressなのか?ようやくDVDを入手したので観てみました。
『北の橋』あらすじ
ビュル・オジェが娘パスカルと共演、摩訶不思議な展開で見る者を煙に巻くリベット版・現代の『ドン・キホーテ』物語。少女バチストの乗ったバイクの前に突然、刑務所から出所したばかりの女テロリストが現れた。閉所恐怖症で建物に入れない女のために、彼女の昔の恋人との連絡係を引き受けるバチスト。手に入れた地図と双六の謎を解きながらパリの街をさまようふたりの身に、不可解な事件がふりかかる……。
※映画.comより引用
ドラゴンの滑り台とガチ喧嘩する女
パリのライオン像に向かって煽り運転するバチスト(パスカル・オジェ)、刑務所から出所し彷徨う女マリー(ビュル・オジエ)が激突する。ガール・ミーツ・ガールだ。何故か、マリーのことをストーカーし始めるバチスト。マリーには恋人がいるらしいのだが、彼は何かの陰謀と戦っているらしい。バチスとはその恋人のカバンを奪い、中から地図を見つける。ヘブライ語で描かれた目印、パリの地図にぐるぐると蜘蛛の巣状に張り巡らされたものを見て、これは双六だと妄想を膨らませる彼女たちは、地図を頼りにミッションをクリアしていく。
展開自体は『セリーヌとジュリーは舟でゆく』と変わらないのですが、主人公の狂いっぷりはレベルアップしている。確かに、地図を舞台に街でイベントをこなす様子はIngressやポケモンGOに近いものがある。
だが、彼女たちの奇行はそんなゲームの枠組みに収まることはない。巨大な滑り台を「あっドラゴンだ、駆逐してやる!あんたなんか武器なしで駆逐できるわよ!」と拳銃とヌンチャクのようなものを地面に落として、奇声をあげながら戦い始める。カメラは彼女の目線に立っているので、ドラゴンの滑り台からは業火が吹き荒れているのだ。また、彼女は空手ができる設定なので、ストリートファイターのような構図にカメラが移動すると、物語関係なしに格闘が始まったりするのだ。
ひたすら何を魅せられているのかわからないし、突然蜘蛛の巣を吹きかけてくるおっさんが何だったのか?結局、本作は何を求めていたのかよく分からない。マクガフィンだらけの映画に仕上がっているのだが、そのよく分からなさが最高に楽しい映画でありました。