ゴースト・トロピック(2019)
GHOST TROPIC
監督:Bas Devos
出演:Saadia Bentaïeb, Laurent Kumba, Jovial Mbenga etc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
いろんな人の2020年映画ベストブログを読み漁っていたら、謎のベルギー映画を入れている人がいた。終電寝過ごしたおばあちゃんが街を彷徨う映画なのだが、とても美しくて良いらしい。というわけで観てみました。
※2024/2/2(金)公開決定!
『GHOST TROPIC』あらすじ
After a long day at work, Khadija falls asleep on the last subway train. When she wakes up at the end of the line, she has no choice but to make her way home on foot.
訳:仕事で長い一日を過ごした後、カディヤは地下鉄の終電で居眠りをしてしまう。終点で目を覚ました彼女は、徒歩で帰宅するしかなかった。
※imdbより引用
わたしゃ迷子のおそうじオバチャン
2016年テロ事件後のブリュッセルを描いた『Hellhole』を撮り、消耗し新しいエネルギーを欲していたBas Devosが次に手がけた『GHOST TROPIC』は、現実と夢の間のような不条理に包まれたブリュッセルという土地で遊んだ作品だ。あたしゃビルのおそうじオバチャン
あたしゃ迷子のおそうじオバチャン
娘を目指して帰宅する
マグレブ出身のおばちゃんは静まり返ったビルを清掃する。冷たい恍惚が漂う不思議な空間。彼女は仕事を終え、仲間と談笑し、帰る。娘に連絡し、ガランとした地下鉄の構内で待ち、いつものように揺られて長い帰路を漂う。しかし彼女は寝過ごしてしまう。終電寝過ごした彼女。お金はない。終電後の世界は冷たい恍惚が支配している。彼女は家を目指して歩き始める。幽霊のようなカメラワークが、終電後に歩いて家に帰る際の寂しさと美しさを捉えていく。ショッピングセンターに辿り着く彼女。警備員がいた。「ちょっと待ってください!」彼女は彼に懇願してATMを使わせてもらう。しかし、カードは使えなかった。
「動いた?」
と訊く彼に申し訳なく「動いたよ…」と語る。
彼女の冒険は長くなりそうだ。
彼女は娘に会うために急ぐ、そんな彼女の前に凍死しそうなホームレス、電柱に繋がれて可哀想な犬に出会う。あまりに寒いので、閉店間際のコンビニに押し入る。冷たい現代社会にも人情はあった。移民でどこの馬の骨かわからない彼女を迎え、紅茶を入れてあげる彼女。都会の寂しさを共有する場面に観ている方も温かくなる。
彼女は、夜の街をふらつく不良集団の中に娘らしき人がいることに気づく。ここで急にスニーキングアクションが始まる。不良集団に見つかったらリンチされるかもしれないし、娘と鉢合わせするのは気まずい。だから、そろりそろりと近づき、覗き見るのだ。
こんなわたしにもユメはある
こんなわたしにもユメはある
娘には幸せになってほしいと。自分は陰で彼女を支えるのだと、彼女は見守るだけに止める。そして犬を助けたりするのだ。
現代社会は多くの者の陰ながらの支えによってできている。そんな陰日向者に光を当てた傑作人情映画でした。
参考資料
・Cineuropa Bas Devos • Director of Ghost Tropic
※hollywoodreporterより画像引用
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