『THE WASTELAND』第77回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ作品賞受賞!

ザ・ウェイストランド(2020)
THE WASTELAND

監督:アフマッド・バーラミ
出演:Touraj Alvand, Ali Bagheri, Majid Farhang etc

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

今朝、第77回ヴェネツィア国際映画祭受賞結果が発表されました。前評通り、作品賞はクロエ・ジャオの『ノマドランド』が受賞。『ザ・ライダー』で注目され、マーベル映画『エターナルズ』監督に内定している彼女に新たな箔が付きました。黒沢清の『スパイの妻』は監督賞(銀獅子賞)を受賞し、日本でも盛り上がりを魅せていました。さて、そんなヴェネツィア国際映画祭ですが、今年もFestival Scopeでオリゾンティ部門の作品が楽しめます。当部門監督賞を受賞したラヴ・ディアス最新作『GENUS, PAN』だけでなく、作品賞を受賞したイラン映画『THE WASTELAND』も観られるということで挑戦してみました。

第77回ヴェネツィア国際映画祭受賞結果

コンペティション部門

金獅子賞(作品賞):ノマドランド(クロエ・ジャオ)
銀獅子賞(監督賞):黒沢清(スパイの妻)
銀獅子賞(審査員賞):NEW ORDER(ミシェル・フランコ)
ヴォルピ杯(女優賞):ヴァネッサ・カービー(Princes of a Woman)
ヴォルピ杯(男優賞):ピエルフランチェスコ・ファビーノ(PADRENOSTRO)
脚本賞:チャイタニヤ・タームハネー(THE DISCIPLE)
審査員特別賞:DEAR COMRADES!(アンドレイ・コンチャロフスキー)
マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞):ROUHOLLAH ZAMANI(SUN CHILDREN)

オリゾンティ部門

作品賞:THE WASTELAND(アフマッド・バーラミ)
監督賞:GENUS PAN(ラヴ・ディアス)
審査員賞:LISTEN(アナ・ローシャ)
女優賞:KHANZA BATMA(Zanka Contact)
男優賞:YAHYA MAHAYNI(The Man Who Sold His Skin)
脚本賞:ピエトロ・カステリット(I Predatori)

その他

短編映画賞:Entre tú y Milagros(Mariana Saffon)
初監督作賞:LISTEN(アナ・ローシャ)
VR映画賞:THE HANGMAN AT HOME(Michelle&Uri Kranot)
VR体験賞:FINDING PANDORA X(Kiira Benzing)
VR物語賞:KILLING A SUPERSTAR(Fan Fan)

『THE WASTELAND』あらすじ


The first of the two Iranian films in the Orizzonti section is a black-and-white feature set in a rundown brick factory located in the middle of a nowhere and run by a boss who is not paying his employees, consisting of a submissive team leader in charge of workers split by ethnic and religious divides. This non-mechanized brick factory is an important source of income for the local community made up of families belonging to different ethnic groups. Forty-year-old Lotfollah is employed there as a submissive team leader and only mediator between the factory’s workers and the owner, who settles all their disputes but is hardly prone to any act of kindness.
訳:オリゾンティ部門のイラン映画2本のうちの1本目は、人里離れた場所にある荒れ果てたレンガ工場を舞台に、民族や宗教の違いで分断された労働者を従順なチームリーダーが担当し、従業員に給料を払わない上司が経営する白黒長編映画です。この機械化されていないレンガ工場は、異なる民族の家族で構成される地域社会の重要な収入源となっている。40歳のロットフォラはそこで従順なチームリーダーとして、また工場の労働者とオーナーとの間の唯一の仲介役として雇われており、彼らの紛争をすべて解決しているが、親切な行為はほとんどしない。
※festival scopeより引用

イランのある終焉

アッバス・キアロスタミのワークショップで修行したアフマッド・バーラミの『THE WASTELAND』はタル・ベーラのような人の心に広がる荒野を捉えている。氷のレンガを運ぶ男。地方にある工場は、静かである。そこで働く人は多様であり、ペルシャ語、トルコ語、クルド語が入り乱れる。そんなレンガ工場を切り盛りするロットフォラは工場を閉鎖することを決意する。これにより、均衡を保っていた人間関係に綻びが生じ、崩壊していく。皆、この工場を出ていかないといけないのだが、そうそう簡単に出ていけないのだ。それを一つずつ彼は解決していく。その厄介な調整と、レンガ造りの工程を退避させて行き、そこへ「レンガは儲からない」という視点を加えることにより、疲弊するイランの人種間問題を浮き彫りにさせている。

長回しで、荒野を捉えていく。もはや魅力を失った土地というものを強調する必要があるのだが、本作はいかんせんショットが美しすぎて、土地が魅力的に映ってしまっている問題があります。また、英語字幕だと非常に分かりにくいイランのローカルな問題を地味な演出で描いているため、私の勉強不足でなかなか飲み込み辛い問題がありました。

個人的に、『NOWHERE SPECIAL』に受賞して欲しかったのですが、この小さな物語を受賞させるところにコロナ禍におけるヴェネツィア国際映画祭の意地を感じました。果たして東京国際映画祭で上映されるのだろうか。

※filmnquiryより画像引用

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