美しき緑の星(1996)
La Belle Verte
監督:コリーヌ・セロー
出演:コリーヌ・セロー、ヴァンサン・ランドン、ジェームズ・シエリー、マリオン・コティヤールetc
評価:95点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
日本でも密かに人気を持つカルト映画『美しき緑の星』を観賞しました。コリーヌ・セロー監督曰く、フランス公開当時、トリッキーな演出とスピリチュアルな内容から酷評されたが、今では当時のヒット作品『赤ちゃんに乾杯!』以上に注目されているとのこと。「早すぎた映画」と監督が称する作品を観てみました。これは大傑作でありました。
『美しき緑の星』あらすじ
ハリウッドで大ヒットしたコメディ映画「スリーメン & ベビー」の原作者、 フランス映画界の巨匠コリーヌ・セロー監督が描く、宇宙から見た地球という惑星の世界。 地球よりも遥かに小さな惑星である美しき緑の星は、豊かな自然に恵まれ、人々は自給自足で助け合う循環社会を形成している。 大都市も身分制度もないユートピアの美しき緑の星の住民にとって、貨幣制度や戦争を繰り返す地球という惑星は、極めて原始的な文明レベルにあるだけでなく、まるで地獄のような星。美しき緑の星には「星外派遣」という任務があり、文明化が遅れている惑星に美しき緑の星の住民が派遣され、その星の現状を調査したり、文明の方向性を軌道修正したりする。 「わたし、行ってみたいわ」 危険な惑星である地球への派遣に、美しき緑の星の住人は誰も手を挙げて行きたがらない中、勇気ある主人公ミラ(コリーヌ・セロー)が地球派遣の任務に1人手を挙げる。 そして、美しき緑の星、宇宙の常識から見た、今の地球は一体どんな視点で見えるのか。
※Amazonより引用
自助共助、、、そして切断
本作は、オーガニックに傾倒するスピリチュアル系な方や『不思議惑星キン・ザ・ザ』的SF映画好きな方から絶大な支持を受けそうな作品だ。しかし、決してスピリチュアルな演出やシュールな演出でゴリ押しする映画ではない。そこには極めて戦略的な文明批判と、エンターテイメントに吹っ切れた演出が所狭しと並ぶ理論的な作品である。この衝撃は、『パパラギ』に近いものがある。『パパラギ』は、サモアの酋長ツイアビがヨーロッパに行った時の所見を語るという内容であり、アパートや靴といった概念のない世界からみた異様な光景を描写することによって、文明人からみた原始的生活の見下しにカウンターを仕掛ける代物であった。本作はまさしく、その系譜をなぞっている。宇宙の彼方に住む人々は自助共助の文化で平和に暮らしていた。必要なものは、挙手制で分配されていく。「小麦がいる人?」「大豆ある人?」みたいに、物々交換に近いやりとりが行われている。仕事もやりたい人がやればいい、できる人がやればいい世界だ。遠隔通信がわかる人は先生として仕事をすることができます。そんな星では、いろんな星を調査する仕事《星外派遣》がある。何故か地球だけ人気がありません。「ナボ星は?」「クリスト星は?」と訊くと、大勢の人が挙手するのに、「地球は?」と訊くと白羽の矢が当たらないように皆うつむくのだ。やがて、地球ディスが始まる。車社会に男尊女卑、国家紛争を嘲笑い煽りまくるのです。そんな中、ミラが挙手して地球に降り立つ。一応、何かあったらまずいということで《切断=Déconnexion》という念を携えて。彼女はパリに降り立つのだが、車の排気ガスで早くも死にそうになる。そしてケーキ屋に行くのだが、ケーキ屋の人は塩対応する。彼女が立ち去ると、何故かケーキ屋のおばちゃんはケーキを車に投げ始める。彼女は家族と通信するために、水を欲するのだがなかなか水場にありつけないし、人々は不親切だ。彼女には強大な力があり、彼女に意地悪をすると、また彼女が通信を試みると地球に影響を及ぼす。人々は靴を脱ぎ始めたり、木に抱きついたりするし、ATMから金が飛び出し、パソコンもぐちゃぐちゃにフリーズする。そんな影響を気にせず彼女は地球見聞録を星へと伝えて行くのだ。
ちなみに、監督はfemininbioのインタビューで次のように述べています。
Beaucoup de gens disent qu’il faut une agriculture biologique intensive car on ne peut pas nourrir toute la planète. Qu’en dîtes-vous ?
C’est aberrant de dire ça. On en est actuellement à 2 milliards de gens qui ne mangent pas sur notre planète. Alors qu’il y a 100 ans tout le monde mangeait. Il n’y avait pas un seul mendiant en Inde, rendez-vous compte.
L’agriculture intensive, la révolution verte a prouvé qu’elle ne pouvait pas nourrir tout le monde. On ne nourri pas le monde en ce moment. L’agriculture biologique est une agriculture qui, si elle est locale et distribuée démocratiquement, est la seule agriculture qui puisse nourrir le monde. C’est donc tout à fait l’inverse car elle est productive. Il ne faut pas oublier de mélanger la forêt, l’animal et le champ pour faire une véritable agriculture biologique et qu’elle soit local. Là on nourrira tout le monde.訳:地球全体を養うことができないので、多くの人々が私たちは集中的な有機農業を必要とすると言います。どう思いますか ?
それを言うのは馬鹿げている。私たちは現在、地球上で食事をしない20億人の人々にいます。100年前はみんなが食べていました。インドには乞食は一人もいませんでした。強力な農業であるグリーン革命は、すべての人を養うことができないことを証明しています。現在、世界に食料を供給していません。有機農業は、それが地域的で民主的に分布している場合、世界を養うことができる唯一の農業です。それはそれが生産的であるので、それゆえ全力で反対します。森林、動物、畑を混ぜ合わせて真の有機農業を作り、それが地元であることを忘れてはなりません。そこで世界中の人を養うのです。
※MUBIより画像引用
参考資料
・femininbio《COLINE SERREAU : UNE FEMME QUI VEUT SOIGNER LA TERRE》
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