【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『最後の戦い』忘れてない?リュック・ベッソンのこの傑作を

最後の戦い(1983)
LE DERNIER COMBAT

監督:リュック・ベッソン
出演:ピエール・ジョリヴェ、ジャン・ブイーズ、フリッツ・ヴェッパー、ジャン・レノetc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『死ぬまでに観たい映画1001本』は10年以上読みこんでいても毎回新しい発見がある。最近まで『ギャング・オブ・ニューヨーク』が掲載されているものだと思っていたら、それはアベル・フェラーラの『キング・オブ・ニューヨーク』だった。同様のケースとして、てっきり『レオン』は掲載されているものだと思っていたら、リュック・ベッソン作品はデビュー作の『最後の戦い』だけだった。さて、皆さんはご存知だろうか?このリュック・ベッソンが弱冠24歳で制作したデビュー作を。

通常リュック・ベッソンといえば『レオン』論争や、昨今の胸焼けするような大作酷評の肴として召還される監督である。無論、彼は映画監督というよりかは『TAXi』、『トランスポーター』、『96時間』といったフランチャイズ映画を育てていく経営者としてのイメージが強い。現にヨーロッパ・コープの社長だしね。

ただ、そんな彼の原石を見ると、彼の荒ぶった才能をまた観てみたいと思った。

『最後の戦い』あらすじ


近未来。世界は文明の痕跡を残さぬほどに破壊されていた。わずかに生き残った男たちは、声帯に異常をきたし、言語によるコミュニケイションは不可能になっていた。砂と瓦礫に埋もれたビルの最上階のオフィスに暮らしている男(ピエール・ジョリヴェ)は、毎日軽飛行機を組み立てている。少し離れたところには、独裁者(フリッツ・ヴェッパー)に支配されている男たちがいる。彼らのいる廃屋から飛行機の部品を少しずつ調達していた若い男は、完成の直前、バッテリーを盗まれたことに気づいた男たちに追われることになってしまう。間一髪で彼は、飛行機で飛び立つ。しかし、彼が目指したパリも荒廃していた。懐かしいアパルトマンには、妻も子供もいなかった。そこでもわずかに生き残った男たちが、凄惨な戦いをしていた。年老いた医師(ジャン・ブイーズ)は、古い病院を要塞にして篭っていた。そこに貯蔵された食糧を狙って、凶暴な男(ジャン・レノ)が襲ってくるが、医師のほうが勝った。その病院に凶暴な男に傷つけられた若い男が、運び込まれた。医師の看護で立ち直る若い男。ある日、彼は、別の病棟に保護されていた若い女との面会を医師から許されるが、彼がその部屋に行くまえに、凶暴な男によって、女は殺されてしまった。その男を倒し、若い男は、もとの場所に戻っていく。そこで彼は、独裁者として君臨するのだった。
MovieWalkerより引用

忘れてない?リュック・ベッソンのこの傑作を

デビュー作にして、白黒サイレント世紀末映画をやろうとは中々ぶっ飛んでいっます。

文明が破壊され、荒野の中で『マッドマックス』ばりの生活を強いられている人類。男は本能あるがままにビニールの人形と合体して欲をみたしていた。そんな世界では、常に弱肉強食の世界であり、追う/追われるの抗争が日常茶飯事となっている。リュック・ベッソンはサイレント時代の冒険活劇のように目まぐるしいカット割りで、言葉なくとも惹きこまれてしまうシュールなドラマを創りあげた。

チンピラに追われる男。男はガラスを破壊する。白黒なので、男がガラスを割る瞬間だけ、物質としての《ガラス》が浮き上がる異様なカッコ良さが画面を支配する中、壊されていく扉と、逃れようと慌てふためく男のカットがスタイリッシュに交差していく。この時点で、大衆娯楽映画の肝を鷲掴みにしている。

映画は、男と男の肉体的戦いを姿形変えて描写していく。防護服をきた男が、謎の棒を持って無機質に男に襲いかかる。それを生々しく交わしていき、マンホールへと逃げる場面やバールのようなものを持った男とエクスカリバーのようなものを持った男がトランスミュージックの中で追いかけっこする場面の荒唐無稽さ。

内容自体は正直よくわからないし、空から魚を降らせてみたりとセンスオブワンダーに頼りきりなところこそあれども、確かにこれは『死ぬまでに観たい映画1001本』に掲載されるべくしてその座を譲らない唯一無二の傑作でありました。

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