『ROAR/ロアー』ホントにホントにホントにホントにライオンだ!近すぎちゃってどうしよう?

ROAR/ロアー※旧邦題:ロアーズ(1981)
Roar

監督:ノエル・マーシャル
出演:ティッピー・ヘドレン、ノエル・マーシャル、ジョン・マーシャル、メラニー・グリフィスetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300⽇』の感想を書くにあたってどうしても観ておきたい作品があった。それが『ROAR/ロアー』だ。今の時代、動物虐待の観点からCGや映像的ハッタリを駆使して動物を描くことが多いのですが、この『ROAR/ロアー』はアフリカの小屋にライオンやトラといった猛獣を蜜状態にさせ、そこに人間を投入してドラマを描いた狂った作品である。『スピード』を撮る前のヤン・デ・ポンが撮影監督として参加して、大怪我を負った逸話がある狂気の作品がなんとAmazon Prime Videoで配信されていたので観ました。どんなホラー映画よりも怖い地獄がそこにはありました。

『ROAR/ロアー』あらすじ


156頭に及ぶライオン、虎、豹、クーガーなどと共同生活するためにアフリカにやってきた一家の、猛獣と仲良くなるまでの大混乱を描く。製作総指揮は植村伴次郎、製作・監督・脚本はノエル・マーシャル、共同製作はチャールズ・スローンとジャック・ラトナー、撮影はヤン・ドゥ・ボン、音楽はドミニク・フロンティアがそれぞれ担当。出演はティッピー・ヘドレン、ノエル・マーシャル、ジェリー・マーシャル、メラニー・グリフィス、キアロ・マチーヴォ。日本語吹き替えで上映。翻訳は木原たけし、声の出演は馬淵晴子(ティッピー・ヘドレン)、井上孝雄(ノエル・マーシャル)、藩恵子(メラニー・グリフィス)など。
映画.comより引用

ホントにホントにホントにホントにライオンだ!近すぎちゃってどうしよう?

雄大な大地の鼓動を感じさせるミュージックに合わせて、「本作品はアメリカ人道協会の規定に従っています 動物が傷つく場面がありますが実際には無傷です 動物たちは訓練を受けておらず自由に演じているため共同監督・共同脚本としてクレジットされる資格があります」と予防線を張るオープニングから幕が開けるのだが、開幕早々にドン引きさせられる。タンザニアで動物保護と研究に命を捧げているハンク(ノエル・マーシャル)の私生活が描かれる。監査員が立ち入るも、いきなり黒豹に飛びつかれてんやわんや。大きなライオンが甘えてくるものの、あまりにも大迫力でタジタジだ。それをムツゴロウさんよろしく、「もう、甘えん坊なんだから」とニコニコするハンクだが、大量のライオンに飛びつかれもう死にそうである。動物たちにとっては遊び仲間として人間に接しているのだが、力の差がありすぎて死と隣り合わせである。小屋に入ると、人間の入るスペースがない程、バングラデシュか!と突っ込みたくなるほど猛獣が密集しているのだ。

そこへ家族がやってくる。家族の一人には『鳥』に出ていたティッピー・ヘドレンがいるところにジワります。ただ、意気揚々と父の研究の場に足を踏み入れる家族は早々に悲鳴を挙げる。右から左から猛獣が歓迎してくるのだ。本作が凄いところは、単にホンモノの野獣に追いかけられる人を撮ったドキュメンタリーではなく、「映画」として形になっているところだ。ハンクもそうだが家族も、みんなホラー映画の登場人物としての仮面を一度たりとも外すことはない。ノエル・マーシャルに至ってはどんな極限状態であろうとニコニコしているし、ライオン同士のガチ喧嘩に参戦してしまうのだ。そして、そんな人間に応えるように野獣たちが大暴れるする。ホラー映画としての空間造形に野獣が答えてくれるのである。逃げ惑う家族。その進行先からライオンが現れる。ハシゴを伝って下へ降りようとすると、トラが待ち受けており、慌てて上に登ろうとすると上からもトラがこんにちわしている様子に映画的怖さが滲み出ている。また、ライオンのパンチで人間が隠れているクローゼットやロッカーが転倒してボロボロになった状態からいかに脱出するのかといったところもハラハラドキドキさせられます。まさしく、限りなくドキュメンタリーに近い『ジュラシックパーク』なのである。

こんな映画は今では作ることはできないだろう。動物好きの狂気が生み出した悪夢のような映画、これは人生で一度は観た方が良い。あなたのオールタイムベストホラー映画を更新することでしょう。
※indiewireより画像引用

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