アデラ/ニック・カーター、プラハの対決(1977)
原題:Adela jeste neveoerela
英題:ADELA HAD NO SUPPER YET
監督:オルドリッチ・リプスキー
出演:マイケル・ドコロマンスキー、ミハイル・ドチョロマンスキー、ルドルフ・フルシンスキーetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
オンライン映画祭We Are Oneでオルドリッチ・リプスキー監督のカルト映画『アデラ/ニック・カーター、プラハの対決』が配信されていたのでみました。キテレツ漫画的面白さに満ち溢れた傑作でした。
『アデラ/ニック・カーター、プラハの対決』あらすじ
今世紀のはじめ、アメリカのパルプ・マガジンの迷探偵ニック・カーター(ミハイル・ドチョロマンスキー)が、伯爵夫人(クヴェタ・フィアロヴァ)の依頼により愛犬失踪事件の捜査のため、チェコスロヴァキアの首都プラハへやって来た。犯人のクラッツマール男爵(ミロシュ・コペツキー)は、植物を操っては悪事を働くことから植木屋と呼ばれる犯罪王であり、かつてカーターと戦って沼へ沈められたが、パイプで空気を吸って生きのびていたのだ。伯爵夫人の愛犬は男爵が育てている食肉植物アデラの犠牲となっていた。さらに男爵は、高校生当時に彼を落第させたボーチェク教授(ラディスラフ・ペセーク)と孫娘のクヴェトシェ(ナーダ・コンヴァリンコーヴァ)に復讐しようと二人を招待するが、そこで教授に変装していたカーターが正体を現す。ドタバタ大追跡のあげく気球で逃げた男爵は、レドヴィーナ警部(ルドルフ・フルシンスキー)が飛ばしたナイフによって気球が破かれ、刑務所の中庭へ真っ逆さまに落ちた。一件落着したカーターのもとへ、ピラミッド行方不明事件のウナ電が舞い込む。カーターはオリエント急行でエジプトに向かうが、その機関車の石炭の山の中には捕らえられたはずの男爵が顔を出していた。
※映画.comより引用
熱光線よりパチンコが強い世界
悪党が次から次へと男を仕留めにやってくる。窓からはボンバーマンが、レールに丸い爆弾転がし、ゴミ箱へドボン。しかし、男はコーヒーの残りで火を消し、窓をガンッと降ろして刺客をやっつける。背後から別の刺客が忍び寄るのだが、天井から巨大磁石装置を発動され無力化されてしまう。いよいよ大ボス、ファントマのような容姿の怪人が現れるのだが、男は《念》でいとも簡単に駆逐してしまう。
キートン時代のサイレントコメディ的コミカルな動きでもってB級映画的物語が独特な個性を発揮し、唯一無二の面白さを提供してくれるのだ。
肉食植物を育てる植木屋と迷探偵のコミカルなスパイ対決が開幕するのだが、漫画的破天荒さが画面を支配する。チェコ映画が得意とするストップモーションアニメと実写の融合で、肉食動物の得体の知れなさが強調される。冒頭のシークエンスから『ファントマ』への愛が伺える本作は、タルやら隠し壁といったギミックが効果的に使われ、例えば、タルから注射器が忍び寄り、チクンと男を麻酔にかけるといったユニークなショットが観る者の目を楽しませてくれる。
そして、銃や、飛行機、塔を溶解させるほどの熱光線が宿敵乗る気球に効果イマヒトツな癖に、パチンコだと効果抜群という不条理な設定の荒唐無稽さも助け、ひたすら楽しいが詰まった作品でありました。
オルドリッチ・リプスキーは全然追えていなかったのですが、これは今後掘り下げていきたい監督である。
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