【しまじろう映画研究5】『しまじろうとくじらのうた』いじめっ子の本質を探る

劇場版しまじろうのわお! しまじろうとくじらのうた(2014)

監督:平林勇
出演:南央美、高橋美紀、山崎たくみ、杉本沙織etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ついに最終回となりました平林監督のしまじろう映画研究。最後は、しまじろう版『アクアマン』こと『劇場版しまじろうのわお! しまじろうとくじらのうた』を観ていきます。

『劇場版しまじろうのわお! しまじろうとくじらのうた』あらすじ


ベネッセコーポレーションの幼児向け通信教育教材「こどもちゃれんじ」の人気キャラクター「しまじろう」が活躍する劇場版第2弾。ケガをした赤ちゃんクジラのくうちゃんを助けたしまじろうは、お母さんのもとに帰りたがっているくうちゃんの世話をし、心を通わせていく。やがて水族館に送られそうになったくうちゃんをお母さんのもとへ帰すため、しまじろうはくうちゃんの背中に乗って南方の海を目指して旅に出る。小さな子どもたちが初めての映画館体験を後押しするため、劇場内の照明を明るくするなど幼児向けの上映環境も整備される。しまじろうたちと一緒に歌って踊れる短編「うみのミュージカル」が同時上映。
映画.comより引用

いじめっ子の本質を探る

昔々、嘘しかつけない少年がいました。

これは『プリンズン・サークル』で受刑者の一人が紡いだ短編の冒頭である。『プリズン・サークル』で更生しようとする受刑者に向けられたカメラは、家庭環境や己の壊れた倫理観によって社会から阻害されてしまった孤独を捉えていた。いじめっ子や問題児を排除することは、彼らを悪の道に導いてしまうことをこのドキュメンタリーは証明していた。さて、子ども映画ではしばしば悪を共存すべき対象として描かれている。ばいきんまんも、毎回アンパンマンに襲いかかるが、過度な制裁、拒絶はしない。『映画 おかあさんといっしょ すりかえかめんをつかまえろ!』では、イタズラしないと自分の存在が消失してしまう苦悩の末、友達を作りたくても作れない不器用さゆえにイタズラしてしまう悪《すりかえかめん》との共存の道を探る話であった。

さて今回のしまじろうは、海の中を旅するわけだが、全身毒針に覆われたウニ男に襲われる。しまじろう一行は、海の精と共に、この意地悪ウニ男を迫害しようと提案するのだが、海の精は「そんなことしてはいけないわ」とウニ男のバックグラウンドについて語り始める。全身毒針に覆われているが為、彼には友達ができないんだと語られていく。それに対してしまじろう一行は彼を受け入れることを決意し、共に舞を踊るのです。幼少期、それこそ義務教育の中学生が終わるまで、児童は多様性に満ち溢れている。家庭環境も違えば、思想も違う。道徳観が固まる前段階、善悪の境目が薄い世界で、いじめっ子イタズラっ子は忌避すべき存在に見えるかもしれない。しかし、彼らを拒絶してしまっては彼らの内なる闇を押し広げてしまうことになりかねない。5年後、10年後に影響が出てしまう。それだけに子ども映画の使命は、そういった異端に対して手を差し伸べることにある。

これは模範的な子ども映画でありました。

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