【第12回恵比寿映像祭】『クラビ、2562』時と文化は水と油だった

クラビ、2562(2019)
Krabi, 2562

監督:ベン・リヴァース、アノーチャ・スウィチャーゴーンポン
出演:アーラック・アモーンスパシリ、Nuttawat Attasawat、Primrin Puarat、アッチャラー・スワンetc

評価:15点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

アート監督ベン・リヴァースとアノーチャ・スウィチャーゴーンポン共同監督作『クラビ、2562』。恵比寿映像祭に来たので張り切って観てきました。
ベン・リヴァースは、1990〜1993年にファルマス美術大学で美術を学びました。ファルマス美術大学は『ドクター・フー』や『ブラック・ミラー』の監督であるToby Haynesやイラストレーターのかわこうせいを輩出した学校です。1996年に卒業後、彼はブライトンシネマテークのディレクター兼プログラマーになりました。台詞なしで16mm撮影された映像を35mmに引き伸ばし、サイレント映画時代の文化人類学的側面を捉えようとした『湖畔の2年間』は第68回ヴェネツィア国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞している。イギリスを代表とする実験映画監督である。

一方、アノーチャ・スウィチャーゴーンポンは最近ようやくGoogle検索で認知されるようになったタイの映画監督(数ヶ月前まで、カルロス・ゴーンの顔写真しか出てこなかった)。タイの映画監督といえば、アピチャッポン・ウィーラセタクンが有名ですが、実は彼よりも先に『Graceland』でカンヌ国際映画祭入りを果たしていたりする。日本では『ありふれた話』が福岡国際映画祭で上映され、話題となった監督である。

そんな二人のマリアージュを観てきました。

『クラビ、2562』あらすじ


実験的な作品を数多く発表してきたイギリス出身のリヴァースと劇映画の実践の中でリアリズムを追求してきたタイ出身のスウィーチャーゴーンポン。異なる背景を持つ2人の映像作家が出会い誕生した本作は、1980年代からリゾート地として人気のタイ南部の町クラビを舞台に、現代から先史時代、近代へと様々な時代の瞬間を呼び起こし、ドキュメンタリーとフィクションを横断する。伝説のプラナン洞窟、失われつつある自然や動物の彫像群など、その土地固有の神話と結びついた風景が映し出されていく。2562はタイで用いられる仏歴で西暦2019年を示す。
※第12回恵比寿映像祭サイトより引用

『クラビ、2562』時と文化は水と油だった

タイのクラビで映画撮影する様を中心に幾つかのネタを鏤めていく。閉館間際の映画館に現れ、消えた女。クラビに遊びに来た外国人が現地の食堂に来るもの会話ができず困ってしまう話などが並べられていく。

映画を撮るとは撮られた時点で過去である。しかし、映画館で上映されるのは更に過去だ。という過去、大過去の関係性や、内側から観たクラビ、外側から観たクラビの関係性を模索しようとする意思は感じられる。

しかし、軸が散漫となってしまい、結局退屈な観光映画になり下がってしまった。

写真美術館2Fで展示されていたベン・リヴァースのナマケモノを延々と映すインスタレーション『いま、ついに!』の方が明らかに面白く、やはり二兎追うものは一兎も得ずと感じた。

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