WAVES/ウェイブス(2019)
Waves
監督:トレイ・エドワード・シュルツ
出演:ケルビン・ハリソン・ジュニア、テイラー・ラッセル、スターリング・K・ブラウン、レネー・エリス・ゴールズベリーetc
評価:70点
珍作・傑作量産工場A24からまたまた面白そうな作品が出現しましたので観てみました。
『WAVES/ウェイブス』あらすじ
「イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。
※映画.comより引用
青春の蹉跌は蒼き薫り
A24お抱えの鬼才トレイ・エドワード・シュルツに結局誰も真似してくれなかった(ウィル・スミスは真似してくれたけど)『ムーンライト』の蒼光りする黒人演出を継承させ、中産階級に生きるパリピ高校生の差鉄とその波動に苦しむ妹を描かせた。映画館で観ず、パソコンで観た私をビンタしたくなる程に観るアーユルヴェーダな蒼き色彩とスピリチュアルなサウンドによる開放感があっという間に自分を包み込む。視覚・聴覚を殴りつけて来る演出に涙しながら釘付けとなるのだ。
しかし、よくよくストーリーを追うとなんて陳腐でありふれた話なんだろうと驚かされる。親に期待され、日夜レスリングに挑む。期待の重圧が負荷となり、ある事件で差鉄を味わうのだ。
重圧から解放されるかと思いきや、その解放の先がパーティーに向かい、その自己破壊的行動が大惨事を生む。そして、悲劇のバトンは妹へと渡るのだ。
日本のお涙頂戴ドラマでも見かけそうなありきたりな話。しかしながら、トレイ・エドワード・シュルツはそんなありきたりを至高の芸術へと昇華させたのです。
人気料理バトル漫画『美味しんぼ』には、米を一粒一粒選別し形・大きさを揃えて炊く手法で海原雄山が山岡士郎をフルボッコにしたあの《ご飯》に近い作品と言えよう。
日本公開は4月です。
ブロトピ:映画ブログ更新
コメントを残す