【ネタバレ考察】『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』アードマン本気のサンプリング

映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!(2019)
Shaun the Sheep Movie: Farmageddon

監督:リチャード・フェラン、ウィル・ベッカー

評価:100点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『ウォレスとグルミット』、『ひつじのショーン』でお馴染みアードマン・アニメーションは、毎回遊び心溢れる作品を発表し、大衆はもちろん映画評論家も唸らせる。フランス映画情報サイトAlloCinéによればフランス批評家2000年代のベストテンにおいてベルイマン『サラバンド』についで2位の座に『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』が鎮座していたのだ。さてそんなアードマン・アニメーションの新作『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』を観てきました。あからさまにスピルバーグオマージュに溢れた作品でありましたが、これが職人芸の塊となっていました。若干ネタバレ評となっているのでお気をつけてください。

『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』あらすじ


イギリスのアードマン・アニメーションズによる人気クレイアニメ「ウォレスとグルミット」から誕生した「ひつじのショーン」の長編劇場版第2作。ショーンたちの前にUFOが現れたことから巻き起こる騒動を描く。イギリスの片田舎の牧場で仲間たちとのんびり暮らすショーンの前に、ある日突然、UFOがやってきた。田舎町はたちまちUFOフィーバーに沸きあがり、牧場主も宇宙をテーマにしたアミューズメントパーク「FARMAGEDDON(ファーマゲドン)」を作って一儲けしようと企む。そのUFOには、物を浮遊させる超能力を持った、ルーラという名の女の子が乗っており、ひょんなことから牧場に迷い込んだルーラは、ショーンたちと仲良しになるが……。
映画.comより引用

ノイズにならないオマージュの使い方

本作は予告編の『E.T.』オマージュから、表面的なオマージュだらけな作品なのかなと危惧していたのですが、流石はアードマン。斜め上をいくサンプリングでひたすら面白いを追求していました。そもそも原題が《FARMAGEDDON》という時点でアードマンの本気を感じます。もちろん、ベースは『E.T.』、『未知との遭遇』なのだが、サラッとシャマランの『サイン』や『X-ファイル』を引用してきたりする。また、黒焦げのパンが出てくるところにR.シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』が流れ、『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせます。自分の記憶が正しければ、この曲は3回使われている。実際に『2001年宇宙の旅』で3回この曲が使われていることを意識していると思われます。そして、敵役のロボット造形は『ショート・サーキット』だったり、『ロボコップ』だったりする。そしてスピルバーグオマージュは、繊細なところでも活かされ、ドリーショットだったり『未知との遭遇』のあのメロディを秘密基地に入るパスワード音として使用したりするのだ。

しかしながら、映画オタク的ノイズをこの映画からは感じなかったのです。それは、スタッフがひたすらに「面白い」を追求していたからだと言えます。例えば、『ショート・サーキット』を模したヘナチョコロボット造形は人間のような愛らしさを与えている。真面目で、目の前の証拠物をなんでもお腹にしまうのだが、動こうとすると木に激突してしまう間抜けさがあります。喜怒哀楽がはっきりとしていて、ロボットなのに悲鳴をあげたり、ハンカチ片手に泣き始めたりするところは癒しであります。

また、アードマンお得意のピタゴラスイッチは、高度な伏線として動かされる。冒頭、ショーンたちが大砲で遊ぼうとしてビッツァーに怒られるという場面があるのだが、それは終盤、修羅場を解決する道具として活かされる。看板は、足場として活かされ、トラクターは前ぶりとして配置されている。そのどれもが前半では予想不可能なものであり、思わぬ形で再登場する姿には感動を覚えます。

この職人芸に頭の中マゲドンでした。

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