【カンヌ国際映画祭特集】『BANDE DE FILLES』セリーヌ・シアマが描く孤独

BANDE DE FILLES(2014)
英題:Girlhood

監督:セリーヌ・シアマ
出演:Karidja Touré, Assa Sylla, Lindsay Karamoh etc

評価:85点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第72回カンヌ国際映画祭コンペティションにセリーヌ・シアマの『Portrait of a Young Woman』が出品されました。この作品は1770年を舞台にした女性画家の物語です。現代劇が多いセリーヌ・シアマにとって珍しい歴史劇、新境地が発揮されそうで期待しています。さて、今回はそんなセリーヌ・シアマの過去作『BANDE DE FILLES』を紹介します。

『BANDE DE FILLES』あらすじ


Marieme vit ses 16 ans comme une succession d’interdits. La censure du quartier, la loi des garçons, l’impasse de l’école. Sa rencontre avec trois filles affranchies change tout. Elles dansent, elles se battent, elles parlent fort, elles rient de tout. Marieme devient Vic et entre dans la bande, pour vivre sa jeunesse.
訳:Mariemeは禁じられた区域に16年間住んでいます。近所の検閲、男の子の規則、学校の行き詰まり。彼の3人の解放された女の子との出会いはすべてを変えます。彼らは踊り、彼らは戦い、彼らは大声で話し、彼らはすべてを笑います。 MariemeはVicとして、彼の若さを生きるために、バンドに入ります。
allocineより引用

孤独と群れ

セリーヌ・シアマは『ぼくの名前はズッキーニ』の時もそうだが、群れとその周囲にある孤独の関係性を捉えるのに長けている。孤独な者同士群れを作る事で傷を癒して行くのだが、単に感動ポルノに落とすことはしない。そういった群れにすら入れない人の孤独を描くことで、現実を投影しようとしている。

本作は、青春という華やかさと永遠に続くであろう時間を巧みに取り入れることでフランス地方都市の孤独を捉えようとしていました。冒頭、華やかな音楽をバッグに少女たちがアメフトに励む様子をスローモーションで撮る。輝ける青春の1ページをしっかりと掴もうとする。そして、少女たちは帰路につく。一人、また一人と去っていき段々と孤独になっていく。主人公のMariemeは、ある日学校の先生から「あなたは高校には行けない」と言い渡されてしまう。彼女は高校に通い青春を謳歌したいのに。

家にも居場所がない彼女は、街をさまよう事になる。校舎の外から学校に通う生徒を眺めては羨望する。そんな彼女と同じ境遇の少年少女が街でゴロゴロとたむろしているのを我々は目撃する。Mariemeはそんな群れに溶け込もうとするのだが、どうも違和感を感じて不安定な結合・離脱を繰り返します。やがて、ダンスが彼女を孤独から救おうとする。

フランスに行くと、結構街で時間を持て余している若者がいる。青春時代というのは、時間が永遠に続くかと思う時期。それはリア充であれば、至福のときであるのだが、未来を失った者からすれば絶望しかない。この『BANDE DE FILLES』はフランスが抱えている、社会のレールから外れてしまった少年少女の問題を的確に捉えようとした作品なのだ。心を揺さぶる音楽とカットの妙により、観る者の心は騒つく。こんな傑作が日本公開されていないとは勿体無いなと感じました。

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