【TAFF】「ぼくの名前はズッキーニ」アカデミー賞にノミネートされたスイスアニメ

ズッキーニと呼ばれて(2016)
英題:My Life as Courgette
原題:Ma Vie de Courgette

監督:クロード・バラス
声の出演:Gaspard Schlatter,
Sixtine Murat,
Paulin Jaccoud etc

評価:75点

実は毎年、訪れていたりする
東京アニメアワードフェスティバル
今年は、アカデミー賞長編
アニメーションにノミネート
されたスイスのストップモーション
アニメ「ズッキーニと呼ばれて」
を観に行きました。

今回の会場は池袋にある新文芸坐。
果たして…

「ズッキーニと呼ばれて」あらすじ

母子家庭のイカロスは、
母親に虐待され気味。
家ではズッキーニと
呼ばれている彼だったが、
ある日自分のミスで
母親を殺してしまう。
警察に保護され、
施設に入れられる…

繊細な閉ざされた子どもの内面

映画 聲の形

」が昨年、シネコンで
かかったぐらいだから、本作も
日本公開できるのではと思ったのだが、
ヴィジュアル至上主義。
可愛い、カッコイイ、美しい要素が
ないと興行が見込めない日本

においてこの
「ズッキーニと呼ばれて」の
公開は正直厳しい。
それでも、
本作は一見の価値ある作品だ。

母親から虐待されている、
ズッキーニ(Courgette)は、
自分のミスで母親を殺してしまう。
警察に保護された彼は、
児童保護施設に入れられるという鬱内容。
しかし、凄惨な境遇を60分通して
じっくり乗り越えていく過程は、
「映画 聲の形」にないものがある。

施設に入れられた児童たちは強烈な
トラウマを抱え、
他人を受け入れることは容易ではない。

その反動で、食事中にフォークで
机を叩く者、いじめを働く者が現れる。
特に私が注目するのはいじめっ子。
ブンブンが小学生の時に同じ
クラスにいた母子家庭の
いじめっ子と仕草が似ているのだ。
根は優しい、真面目。
しかし、愛に飢えるあまり
周りに当たってしまう。
接し方が分からないから。
自分の弱みを見せないよう上に
立とうとする姿が生々しい。
そして、強さの片隅に見せる哀しみ。
コンプレックス。
この繊細さは、感情全力
全開フルドライブな
日本のアニメではできない緻密さと言えよう。

ハードで辛すぎる。その悲愴を
全面に背負ったお世辞にも
可愛いとは言えない造形だが、
ストップモーションアニメだからこそ
浮き彫りにされる、どん底から
立ち上がる子ども達に魂揺さぶられる作品だった。

イメージフォーラムあたりで、公開しないかなー

おまけ:トークショー

上映終了後に監督
トークショーがありました。

そして様々な貴重な話を伺いました。

海外のストップモーションアニメって
目がデカイイメージがあるのだが、
それは、どうやら技術的な問題で、
アニメーターが目を簡単に
いじれるようにする工夫だとか。
また劇中、登場人物の髪がなびく
シーンや繊細な身体の動きは、
パーツの中にアルミニウムの
針金のようなものを仕込み
動かしている。
そして、身体のパーツを取り替え
やすいように、磁石を内蔵させている
など実際に撮影で使われた
人形を使って実演してくれました。

また、主人公のあだ名の
「Courgette(ズッキーニ)」の意味合いに
ついて質問が挙がっていました。
確かに、フランスって比喩やあだ名で
食べ物の名前をよく使うだけに
気になっていたのだが、
監督曰く、あまり名前に意味はないとのこと。
寧ろ、母親からもらったあだ名を大切にする。
施設の人に本名ではなく、
自分の呼んでもらいたいように呼んでもらう
ってところが重要とのこと。

やはり監督トークショーは
面白いなー

【2017/08/30更新】日本公開決定

「ズッキーニと呼ばれて」が「ぼくの名前はズッキーニ」という邦題に変わって2018年2月10日より新宿ピカデリーにて公開されることが決まりました。

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