【小話】坊主に反論、それは「ガチの映画通選手権」ではない!
ガチの映画通選手権
最優秀賞
エンドロール見ないで帰るやつの気心が知れない金賞
オープニングだけでラストを予想できる入選
始まる前の宣伝がちょーおもろいこの選手権に参加するのはほとんど映画通じゃない
あなたの好きなのは「映画」じゃなくって「映画が好きな自分」じゃない??
— 坊主 (@bozu_108) 2019年3月19日
Twitter最大の大喜利アカウントの管理人「坊主(@bozu_108)をご存知だろうか?毎日のようにお題を出して、それに対する鋭いコメントを「優秀賞」として発表しています。通俗なのだが、人々に笑いを送り届けている良いアカウントだと思っています(実は、ブンブンもアンパンマンの新キャラを考える大喜利で「乾パンマン」と投げつけ、入選したことがありますw)。
そんなアカウントで「ガチの映画通選手権」が開催されていたのでワクワクして結果を観た。しかし、「これはガチな映画通ではない」と思ってしまった。まあ、この手の大喜利にケチつけること自体がナンセンスなのだが、入選結果が割とガチだったことも受け、映画に詳しくなりすぎて普通の映画のオフ会に行きづらくなってしまったブンブンが本当のガチの映画通というのはどういうことかを1-10のスケールで伝授しようと思う。下記に書いてあるのはブンブンがここ10年で辿ってきた軌跡に割と基づいています。ただのマジレスですみません。軽くスルーしてくださいw
もくじ
映画通レベル1:ミーハーから抜け出したい時期
映画の面白さに気づき、映画を片っ端から見始める時期です。ただ、周りにそこまで映画を観ている人がいなくて悶々としてきます。そしてミーハーと言われることに嫌悪感を示し、それを原動力に映画を観始めます。
・エンドロール見ないで帰るやつの気心が知れない
・始まる前の宣伝がちょーおもろい
・Filmarksを始めてみる
・インスタグラムで数行映画感想書いてみる
・アカデミー賞映画はとりあえず観る
・Netflixたのしー♪
・映画館たのしー♪
映画通レベル2:映画の型を知る
アカデミー賞関連作品を観たり、町山智浩等のライトな映画解説者の話を聞くことで、映画の型を知ります。
・オープニングだけでラストを予想できる
・試写会に行き始める
・映画のオフ会が楽しい
・映画レビューを書き始めるも、あらすじだけになってしまい苦悩する
・ネタバレとの境目がわからない
・町山智浩、ライムスター宇多丸は神
・IMAXや4DX等に興味を示し始める
・TOHOシネマズ シャンテは神映画館
・周りの友達や同僚よりちょっと映画に詳しくなり、図に乗り始める
映画通レベル3:高慢と偏見期/Inside
映画オタクなら恐らく誰もが通る道でしょう。映画についてある程度詳しくなったことで、万能感を得る。そして学校や会社で満たされない承認欲求を満たすように映画と向き合うことで、趣味の世界にも偏重を来し始める。恐らく、映画のオフ会に参加すると、一人はいることでしょう。
・映画のオフ会で語り過ぎてドンびかれる
・あなたの好きなのは「映画」じゃなくって「映画が好きな自分」じゃない??
・キネマ旬報ベストテンを気にし始める
・Rotten Tomatoesの評価が気になる
・変わった映画を求め、カンヌ国際映画祭作品にハマり始める
・映画好きをジャンル分けして、区別し始める
・うっかり、映画ではなく映画を観る人を非難する。場合によっては炎上する。
映画通レベル4:高慢と偏見期/Outside
自分の高慢と偏見にまだ気づいていない時期、周りの戦闘力の低さを鼻で笑い、更なる高みを目指す意識高い系な時期だ。そしてちょっとシネフィルが多い映画オフ会に参加したり、映画に詳しい方と話すことで自分の井の中の蛙に気づくことでしょう。
・IMDbは私の友だち
・ヴェネチア国際映画祭作品に注目し始める
・東京映画友の会等、ちょっと高度な映画オフ会に参加し始める
・斜めに構えて大衆映画を観てしまう
・都内の映画館は大抵把握しているぜ!(とか言っておきながらポレポレ東中野を知らなかったりする)
映画通レベル5:三大映画祭作品に目がない
この時期になると、三大映画祭作品というだけ観たくなってしまうもの。朝3時に起きて三大映画祭の受賞結果を確認する程熱狂的になってくる。と同時に映画祭まとめブログ「海から始まる!?」の記事がいかにすごいかを思い知らされることになります
。
・ベルリン国際映画祭に注目し始める
・映画祭ブログ「海から始まる!?」の凄さに気づき始める
・カイエ・デュ・シネマ ベストテンや映画芸術ワーストテンに注目する。尚、これらの偏屈映画史の酷評、絶賛作品がワケワカメ過ぎて衝撃を受ける。
・映画祭のボランティア等に参加して、映画の魅力を伝える側につく
映画通レベル6:映画オタク
アカデミー賞作品のようなお行儀の良い作品はもちろん、三大映画祭のような作品にも飽き始め、さらなる映画の視点を求め活動するようになる。シネフィルが集まる会にも積極的に潜入するようになる。
・三大映画祭、アカデミー賞以外の映画賞が気になり始める
・東京国際映画祭に通い始める
・名画座に通い始める
・ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ニコラス・レイ、エリック・ロメールあたりの面白さに気づき始める
・日本未公開作品が半年後、1年後どこで上映されるか分かり始める
・オマージュや引用元が瞬時に分かるようになる
・映画なんて結局作品と作品の引用マリアージュの芸術なのではと思い始める
・映画超人Wandaさんの映画呑み部に潜入し始める
・VHSで映画を観るようになる
映画通レベル7:シネフィル時代
映画芸術がなんであの映画をボロクソに叩いているのか?あの変な映画に満点をつけているのかがわかり始める。また観る映画がマニアックになって来ることから、学校や会社で「最近何観たの?」と言われるのが怖くなってきます。ただ、映画ジャンルそれぞれの楽しみ方を知っているので、ゴダール映画の面白さ、アメコミ映画の面白さを区別して考え、「どっちも面白けりゃいいじゃん」と思うようになります。
・カイエ・デュ・シネマや映画芸術の視点が分かるようになる。
・東京フィルメックスに通い始める
・トーキョーノーザンライツ映画祭等他の映画祭に通い始める
・年間ベストテンに映画祭映画が入るようになる
・まず会社や学校の人から理解されなくなる
・輸入DVD,ブルーレイを書い始める
・大寺眞輔や蓮實重彦といった映画評論家の存在を認知する
・好きな映画数本挙げてもらうだけで、相手の好みが分かるようになる。
・「好きな映画はなんですか」と訊かないで!
・オススメ映画なんて直ぐに答えられるわけないじゃないですか!
・映画ベスト100に挙げられるような作品は大抵見尽くしてしまい、観たい映画がなくなりスランプに陥る
・自分の本当の好みがわかってくる
・アート映画と大衆映画に差なんてなかったことにようやく気づく
映画通レベル8:ハードコアシネフィル時代
アメリカの映画データベースだけでなく、フランス等他国の映画情報サイトを監視し始め、現地の評判を集めるようになってきます。ここまで来ると、アンスティチュ・フランセの特集で上映される謎の映画の正体も分かるようになり、全力で足を運ぶようになってきます。一方、映画オフ会には物足りなさを感じてしまい、孤独の道を歩むこととなります。その孤独の道を超えた先には…
・英語以外の媒体を読むようになる(ex. AlloCine等)
・年間ベストテンに日本未公開作品が入るようになる
・アンスティチュ・フランセの特集上映に朝から並ぶようになる
・普通の映画オフ会に参加しても話が合わず辛くなってくる
・米国iTunes契約、セルフ試写会実施
・新文芸坐シネマテークに通う
・自己紹介で「映画好きです」と言ってくる人を警戒し始める
・映画のタイトルだけで会話ができるようになる。そして相手が挙げる映画のタイトルから、相手の心情が分かるようになる。
・映画を鑑賞したら、感想が既に脳内で完成している。
・NISHI THE WILDや浅井隆、矢田部吉彦のTwitterを監視し始める
・自分より映画を詳しい人の存在を認知し、迂闊に「私は映画が詳しいです」なんて怖くて言えなくなる
映画通レベル9:人間ではなくなってくる時期
もうここまで来ると、単なる映画オタクの域を超え、人間ではなくなってきます。下手すると映画配給会社よりも未来の映画に詳しくなってしまう珍現象が発生します。東京テアトル、ギャガ、キノフィルムズの配給権購入合戦を遠くから眺めているのが生き甲斐になってきます。そして、惹きつけられるように自分の目の前にスーパーサイヤ人な映画超人が姿を表すようになります。この手の映画超人は、自分ですら知らない世界を知っているので、話せば話すほど異次元の映画の魅力が引き出され、再び映画熱が浮上することでしょう。
・MUBIに登録
・海外の映画祭に行く
・異次元の映画超人が目の前に現れ始める
・配給会社の版権購入から逆算して、輸入するか決める
・映画ブロガーとして軌道に乗ってくる
・映画関係で依頼が来るようになる
・名画座やアンスティチュ・フランセで見かけるヤバイ人を見て「自分だ」と猛省する
・アラン・ギロディ、アンゲラ・シャーネレク、ジャック・ロジエが共通言語
・アンドレ・バザンやジャン=リュック・ゴダールの引用する映画が分かるようになる
・未来の映画ファンを増やすにはどう情報発信すればいいのか苦悩する
・大いなる力には責任が伴う、ピーター・パーカーのお言葉が胸に刺さる
映画通レベル10:仙人の世界
ここまで来ると、仙人レベル。オフ会とかTwitterでマウントして来る人が可愛らしく思えて来る。
・映画会社の人と遂に対峙する
・ゼロモチベーション済藤鉄腸さんの凄さに気づく。そして憧れる
・『死ぬまでに観たい映画1001本』掲載の鑑賞困難作(『Sherman’s March』etc)をいかにして観るかにこだわり始める
・自分の年間ベストテンは会社に知られてはいけない。何故ならばトリッキー過ぎて即身バレすることでしょう
・仙人レベルになっても人に映画を勧めるのは難しい。頼むから気安く「オススメ映画を教えて」と言わないで。
・一周回ってアンパンマンとか『映画 おかあさんといっしょ』を映画館で一人観に行き始める
・でも、キネマ旬報の文化映画ベストテンはわからないし、全部は観ていない
おわりに
今回、ガチの映画通とはどういう世界なのかをレベル分けしていき、実は奥深い世界なんだなと思うようになりました。ブンブンは映画の伝道師として、映画仙人を目指して映画の面白さをこれからも探求していこうと感じました。それではまた!
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