【アカデミー賞特集】『ファースト・マン』僕らの生まれてくるもっともっと前にはもう アポロ計画はスタートしていたんだろ?

ファースト・マン(2018)
First Man

監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、ジェイソン・クラーク、クレア・フォイ、カイル・チャンドラー、コリー・ストール、キーラン・ハインズ

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

セッション』、『ラ・ラ・ランド』と毎回賛否が激突する炎上新気鋭監督。デイミアン・チャゼル。今回は、作風をガラリと変えた作品を放った!『ファースト・マン』はまるでクリストファー・ノーランのように、徹底したリアリズムに拘り、アポロ計画の1960年代当時の撮影で製作し、できるだけCGを使わずミニチュア等を使って撮影した作品となっています。そして、またしても賛否が激突する作品となっています。アメリカ本国では、ニール・アームストロングが月面に旗を立てる場面がないことで大炎上となりました。また、多くのシーンをアームストロングの主観、至近距離で撮り、ミッション中の描写がわかりにくいことから好き嫌いがハッキリと分かれている作品でもあります。それでも第91回アカデミー賞では、美術賞、録音賞、音響編集賞、視覚効果賞の4部門にノミネートされています。そんな『ファースト・マン』観てきました。

『ファースト・マン』あらすじ


ジェームズ・R・ハンセンが記したアームストロングの伝記「ファーストマン」を原作に、ゴズリングが扮するアームストロングの視点を通して、人類初の月面着陸という難業に取り組む乗組員やNASA職員たちの奮闘、そして人命を犠牲にしてまで行う月面着陸計画の意義に葛藤しながらも、不退転の決意でプロジェクトに挑むアームストロング自身の姿が描かれる。
※映画.comより引用

僕らの生まれてくるもっともっと前にはもう アポロ計画はスタートしていたんだろ?

1969年、たったファミコン2台分のCPU性能しか持っていなかったアポロ11号は月面着陸を成功させた(Processing Power Comparedより引用)。あれから半世紀が経った。CPUの性能は飛躍的に伸びており、今や手のひらサイズのディスプレイで動画を観たり、メールを打ったり、会議の資料、レポートなんかを一般庶民が作れる時代となった。しかしながら、人類は月に行こう!さらにもっと先の火星に行こうという気概は失われてしまった。僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもうアポロ11号は月に行ったっていうのに、宇宙開発はちっとも進んでいなかった。人類は、まるで引きこもりニートのように、地球の内なる世界しかみなくなってしまった。人工衛星から人々を監視し、インターネットで地球のことを知った気になっている。興味は外よりも内にしかなくなってしまった。

そんな、ご時世に『ファースト・マン』は浪漫を与えてくれる。それも、今まで誰も味わったことのないような。本作は、ニール・アームストロングと共に月を目指すクルーの目線で、過酷な検証、検証、検証の日々を疑似体験することができる。いきなり、冒頭から何処を飛んでいるのか分からない状態から物語は始まる。観客は、画面に微かに映る小窓とギシギシ軋む機体の音に不安を抱く。その横で、アームストロングが、ストロングな心で計器と自分を信じて問題を淡々と解決していく。観ている方は、常時絶体絶命の状態でハラハラドキドキさせられる。

そんな検証飛行のシーンが、数分ごとに待ち受けるのです。観客はこう思う、「なんで死にそうな訓練に挑みまくるのか?」と。それに対して、アームストロングは次のように語る。

「月で失敗しない為に、今のうちに失敗しておく必要がある。」

冷静沈着なアームストロングの周りで、次々と宇宙飛行士が亡くなっていく。妻からも止められる。しかしながら彼は宇宙を目指した。別にアメリカの為でも、世界平和の為でもない。純粋な好奇心と、人類の発展の為に彼は危険なミッションに挑むのです。本作を観ると、宇宙飛行士って大変だなと思う。自分は彼のようにはなれないと痛感させられます。しかしながら、愚直に宇宙という浪漫に想いを寄せる彼や管制局のスタッフの生き様を観ていると元気がもらえる。2時間半と長尺な作品でしたが、素晴らしい体験ができる良作でした。やっぱり、ブンブンはデイミアン・チャゼル監督を応援していきたいです!

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