【見逃シネマ ネタバレ】『まったく同じ3人の顔』見知らぬ女にキスされる。部屋には同じ顔の別人がいた…

まったく同じ3人の顔(2018)
Three Identical Strangers

監督:ティム・ワードル

評価:60点

東京国際映画祭で絶賛されたものの、ブンブン見逃してしまったドキュメンタリー『まったく同じ3人の他人』を米国iTunesで借りてみた。噂通りびっくりな衝撃エピソードでしたぞ!

『まったく同じ3人の顔』概要

大学に入学した青年は寮に向かう。しかしながら、道ゆく人が妙に馴れ馴れしく接してくる。そして「エディー」と言いながらハグしてきたり、女の子からはキスされてしまう。エディーじゃないのに。そして部屋に辿り着くと衝撃的な出来事が!なんと自分とまったくそっくりな男がいたのだ。生年月日も一緒な青年エディだった。そして驚いたことにもう一人まったく同じ顔の人物がいた。この衝撃の対面はメディアで紹介され、Eddy Galland、David Kellman、Robert Shafranの3人は一躍スターとなっていくのだが。ある事実が思わぬ方向へ彼らを導いていく…

本当にあった怖い話

青年が大学に入学し、寮に向かうと、何故か次々に人が集まり馴れ馴れしく接してくる。女の子はキスをしてくるし、皆誰かと勘違いしているようだ。そして、部屋に着くと驚いた!自分とまったく同じ顔の人物が目の前にいたのだ!名前は違うが、生年月日は一緒だった!さらにそこにまた同じ顔の別人が現れる。彼も生年月日が一緒だ。なんと、三つ子として生まれた際にバラバラにされてしまったのだ。奇跡の再会。テレビや新聞に紹介されてチヤホヤされるのだが、、、という内容。

あまりに衝撃的な実話故、数年後には劇映画化するでしょう。トム・ハンクスに似てたりするので尚更映画化向きだ。

ただ、この作品惜しいのは、ドキュメンタリーとしての広がりが弱いのだ。確かに次々とびっくり事実が浮かび上がるのだが、どうも誇張が強く、また不明なところは陰謀説の煙に巻こうとしている気がしてならない。3兄弟はユダヤ人の養子縁組団体と精神科医の手によって生まれてすぐに、貧困層、中産階級、富裕層の家に振り分けられたのだ。人間の精神形成は遺伝によるものなのか、環境によるものかを調べる実験として3人はモルモットにされていたのだ。そして、次第に双子研究というものがあることに辿り着く。メディアに引っ張りだこになり有名になった3人だったが、この事実により段々と鬱病に悩まされていくのだ。人間の成長形成を検証する壮大な実験は数多くある。

例えば、イギリスでは『The Up Series』という背景が異なる赤ん坊を1964年から7年毎に撮影して、人間形成の神秘に迫るドキュメンタリーが作られている。常に倫理的配慮との闘いとなっている類の研究だが、本作はその最悪な例の一つといえよう。3人は奇跡的に邂逅するが、むしろ邂逅しなければ良かったのではと思うほどに鬱病に悩まされ、エディは最終的に自殺してしまうのだ。

本作は、饒舌ドラマチックにこの悲劇を語っていくのだが、肝心な心理実験とモラルの関係性について曖昧模糊、煙に巻く形で描いてしまった。確かに、難しい題材、客観的に描くのは難しいし、かといって下手なことを描けば炎上する。テーマがテーマということもあるのだが、流石にドキュメンタリーとして主張から逃げすぎなのではと感じてしまった。

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