【悲報】映画ファンよ…TOHOシネマズ、1ヶ月フリーパスポートやめるってよ
先日、2018年10月15日(月)からTOHOシネマズ シネマイレージカードのシステムが更新された。会員の方は3時間早くインターネットからチケットを購入できる一見、サービス向上のシステムに思えたが、鑑賞ポイントの有効期限が鑑賞日から2年間となり、また6ポイント鑑賞、1ヶ月フリーパスポートをご利用いただける座席数に上限が設けられたりと年間100本以上観るような映画ファンを悲しませる事態となった。
※詳しくはコチラの記事をお読みください→【悲報】元TOHOシネマズ バイトが語るシネマイレージカードのヤバイサービス変更
実際に、2018年10月15日(月)なるや否や、ガラガラの上映回でも6ポイント鑑賞やフリーパスを発動させてもらえない事案がTwitterでチラホラ報告された。特にTOHOシネマズ新宿や日比谷といった都心の劇場でこのような悲劇が多発した。ブンブンのよく行くTOHOシネマズ海老名は座席数が多い割に観客が少ないという典型的な地方劇場故、被害に遭っていないのだが、折角劇場に来たのに窓口で門前払いされてしまう映画ファンの声を聞くと悲しくなります。
さて、この悲劇は、ホロコーストの序曲に過ぎなかった。昨日、仕事からヘトヘトになり帰ったブンブンの目に飛び込んできたのは目を疑うようなデス・メッセージであった。
平素よりTOHOシネマズをご利用いただき、誠にありがとうございます。
マイルの交換特典としてラインアップしております「1ヶ月フリーパスポート」の取扱いを終了いたしますので、お知らせいたします。
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TOHOシネマズユーザーにとって毎回のように通う最大のメリットであり、毎年これの為に頑張って通っているといっても過言ではない「1ヶ月フリーパスポート」が廃止になるのだ。あまりにショックなのでここで愚痴らせて下さい。今日のブンブンはお葬式のようにくらいDEATH。
確かに分かるよTOHOシネマズの苦痛は…
もちろん、先日のシネマイレージカードのシステム改変や今回の「1ヶ月フリーパスポート」廃止の理由はなんとなく分かるし、映画館経営が大変なのはよく分かる。ここ数年、『君の名は。』や『カメラを止めるな!』のヒット、『ボヘミアン・ラプソディ』が社会現象となり老若男女が劇場に駆けつけ応援上映が開催される程、10年くらい前に比べるとあまり映画を観ないような人も劇場に足を運ぶようになったし、3D、4D、IMAXやプレミアムシート等充実した設備の提供、コンセッションの充実やアニメ作品においては入場特典を強化することで一見映画業界の未来は明るいように見える。
しかしながら、3Dやプレミアムシートで客単価をあげようとしても、これらの維持費を回収するので手一杯だろう。都心の映画館は連日平日でも満席を叩き出していたりするのだが、TOHOシネマズ海老名のような劇場は基本ガラガラ。高級設備の維持費は重い重い足枷となっているだろう。また、コンセッションの充実や入場者特典の強化を行うにしてもそれなりのコストがかかる。
そして極め付けは来年10月1日から消費税が10%になる。
消費税が5%から8%になった際、映画業界は入場料金を直接値上げする道は取らなかった。映画の日等の割引に対して数百円値上げすることで、耐え抜こうとした。ただ、今回の値上げは非常に重いだろう。
計算してみる。大人一般料金が現在1,800円だ。
消費税5%の頃の映画館の単純な売り上げは、1,800円-内税85円=1,715円。
消費税10%時の映画館の単純な売り上げは、1,800円-内税163円=1,637円。
たった78円の差かと思うかもしれないが、これが積み重なるとかなり重いと思う。TOHOシネマズが公表している2018年8月映画興行部門興行成績速報
をサンプルとする。
興行収入が9,448,210,597円とのこと。単純計算してみよう。
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ビジネスの専門家ではないので、大雑把な計算になるのだが、消費税5%の頃と比べると、約4億円もの減収となります。また消費税8%の頃と比べても約1.5億円もの減収となります。1.5億円というとミニシアターでボチボチ話題になった作品の興行収入レベルの額だ。それが税金によって消えてしまう。
だからこそ、年間百本以上観る人に無料鑑賞させたくないのはよく分かる。フリーパスを使われたら、20本近い作品を無料鑑賞(ハードコアな人は60本位観るようだ)されてしまう。それだけで数万円の大打撃になる。なので、今回の決断は致し方ないことだ。
でも「1ヶ月フリーパスポート」は素晴らしい制度だったことを覚えておいてほしい
ただ、この「1ヶ月フリーパスポート」は実に素晴らしい制度だった。なんたって、普段観ないような作品に挑戦できるからだ。そして未知との遭遇を通じて、新しい映画の見方を見出したり、好きなの映画監督、俳優を新たに見つけたりできたからだ。ブンブンを例にとると、この夏フリーパスポートを通じて、面白いアニメ映画に沢山出会った。それこそ、初めてアンパンマン映画『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星
』を鑑賞したのだが、幼児映画にも関わらずミクロとマクロ双方の視点から公害を捉えた大人も勉強になる作品であった。また、コアなアニメファン向け作品であろう『劇場版 のんのんびより ばけーしょん
』がジャック・ロジエやエリック・ロメールを思わせる美しくも切ない陽光の世界を描いていて衝撃を受けた。この映画体験により、一層脚本家の吉田玲子に惹きこまれ、『若おかみは小学生!
』は公開日初日に足を運んだ。そして『若おかみは小学生!』及び吉田玲子作品についてブログ、Twitter上でオススメするようになった。フリーパスは、映画ファンに新たな映画の出会いを与え、それが口コミという渦を生み出す可能性に満ちていると思う。
もちろん、「映画ファンが映画業界を盛り上げているのだから、フリーパスをやめるな」といいたいわけではない。それはただの傲慢だ。
言いたいのは、フリーパスをやめる代わりに、映画と邂逅する機会というものを真剣に考えてほしいということだ。料金面、システム面で苦労しているとはいえ、アメリカではMoviePassという映画定額制を導入し話題となった。フランスの映画館では回数券というのが導入されている。ブンブンがフランスに留学していた頃、20回回数券を買って積極的にいろんな映画に挑戦して、インスピレーションを掻き立てられました。
※Yahoo!ニュース 月1,000円で映画見放題のMoviePass。「使ってもらっては困る」サービスの将来はいかに
※フランスのミニシアターLES 400 COUPSで回数券を買った記事(『ザ・トライブ』レビュー)
※シネコンGAUMONTの回数券リポート(『フューリー』レビュー)
※韓国のシネコンCGVのソリューションビジネスについてまとめた記事
普段映画を観ない人に足を運んでもらうべく策を練るのも当然必要だが、熱狂的な映画ファンが周りに語りたくなるような、それこそ職場や学校で普段映画を観ない人にも思わず語ってしまうような映画体験の場を作り出す必要があるのではないだろうか。
陰日向で細々とやっている映画ファンの愚痴に過ぎない。平気で映画を酷評する悪いブロガーだ。しかし、TOHOシネマズが斬り捨てたものは大きいことを理解して欲しい。応援はするが、非常に悲しいなと思いました。
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