泣き虫しょったんの奇跡(2018)
監督:豊田利晃
出演:松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、
染谷将太、渋川清彦、
新井浩文、早乙女太一、
妻夫木聡、上白石萌音、
石橋静河、板尾創路、
藤原竜也etc
評価:80点
ここ最近、将棋映画が流行っているようだ。『聖の青春
』『3月のライオン
』と毎年将棋映画が出ている。しかし、これらの映画は天才、神童の映画だった。今回鑑賞したのは、地を這い蹲るようにして、陰日向から夢を勝ち取った瀬川晶司の反省を描いた作品。予告編にちょっぴり惹かれ、でもちょっぴり不安を抱きながら観に行きました。
『泣き虫しょったんの奇跡』あらすじ
瀬川晶司は、小学生の頃から将棋にのめり込み、プロ棋士を目指して日々精進していた。そんな将棋界にはルールがある。26歳までに四段昇格できなければプロ棋士の殿堂奨励会から強制退会させられるのだ。三段まで上がったは良いが、全く前に進めず、遂に退会となってしまった瀬川。平凡なサラリーマン生活を行う中、アマチュア将棋の世界を知り、再び立ち上がる…何かに熱中している人必見!完璧な感動ドラマ
本作は、変わった傑作の多い、狂った傑作が多い中、埋もれてしまい、中々2018年のベストテンに選出されない作品であろう。実際、ブンブンのベストテンには入りそうもない作品だ。ひねりも特になく、あらすじから察する展開以上のことは起きない。しかしながら、決して手を抜かない、むしろ凡庸なサクセスストーリーから1000%の魅力を引き出している。将棋に関しても、将棋が知らない人、知っている人双方にとって、盤面でどんなことが行われているのかが分かる。瀬川晶司が負けそうになっているのか、あるいは攻めている時なのか?その空間に流れる空気、息遣い、静と動のメリハリをはっきりとつけることで、躍動感ある手汗にぎる場面が絶妙に描写されている。
そして、窮屈ながらも淡々粛々と夢に向かって歩む瀬川晶司の人生に魂が洗われる。
学校の先生は若かれし瀬川晶司にこう言う。
「何かに熱中している人は、それが役に立つ時がきっとくる」
多くの人にとって、将棋とは無縁な存在だ。しかし、彼にとって将棋はアイデンティティを形成するもの。例え手放しても、行き詰っても、再び自分を救ってくれるドラえもんのような存在。
ブンブンは、中学2年性の頃から映画ブログを始めている。最初はTwitterレベルの文章しか書けなかった。それもあらすじをなぞるだけのような文章。映画も、タルコフスキーとかアンゲロプロスとか観ていたが、正直よく分からなかった。しかし、それがだんだんと形になって行き今に繋がった。癖のある文章だが、月間10万PVを超えられるようになった。そして、映画と物書きで培ったものが、仕事やプライベートに役に立つ。年齢の壁を超えた交流関係を築き上げることができた。
本作を観ると、自分の人生と重なるところがあり、瀬川晶司を応援したくなる。ひたむきに謙虚で粛々と一歩ずつ歩いていく彼の勇姿。決して羽生善治、藤井聡太のように華やかに無双しているわけではない。なんだけれどもサイコーにもカッコいい。ブンブンもブログ活動を頑張って行きたいと思いました。
ってわけで、何かに熱中している人程、心に残る名作でした。
コメントを残す