【MUBI】『天使の復讐』は『シェイプ・オブ・ウォーター』の100倍面白い

天使の復讐(1981)
Ms.45(1981)

監督:アベル・フェラーラ
出演:ゾー・タマーリス、ピーター・イェーレンetc

評価:100点

MUBIで『101 CULT MOVIES YOU MUST SEE BEFORE YOU DIE』に収録されているカルト映画『天使の復讐(Ms.45)』を見つけたので観てみた。これが大傑作だったぞ!

『天使の復讐』あらすじ

発話障がいを抱えるターナは、1日に2度レイプされてしまう。2度目のレイプ時に、レイプ魔を殺してしまったことから、彼女の中に何かが目覚め、街中の嫌な男を殺して殺して殺しまくる…

『シェイプ・オブ・ウォーター』の100倍面白い!

昨年、期待していた程面白くなかった作品に『シェイプ・オブ・ウォーター

』と『ELLE

』があった。どちらも確かに傑作ではあったものの、社会的メッセージを全面に出そうとするあまり頭でっかちな作品になっている気がした。特に、前者は『パンズ・ラビリンス』という歴史的凄惨な事件とファンタジーを見事に融合させた作品だっただけに、1960年代というキーワードが薄すぎた今作はイマイチ乗れなかった。(冷戦とか1960年代とか抜きにして描いたら良かったと思うなー)

さて、前置きが長くなったが、今MUBIでは400円で『シェイプ・ウォーター・ウォーター』と『ELLE』を足して、尚且つ不満点が全て解消されている傑作が借りられる。

その名も『天使の復讐(Ms.45)』だ。監督はB級スリラーの鬼才アベル・フェラーラだ。日本では最近中々新作が上陸せず、ビデオスルーにすらならない監督の作品。本作は私の知る限り日本でDVD化されていない。

内容は、発話障がいの女が一日で二度レイプされるところから始まる。哀しみと憎しみに駆られる彼女。彼女はトラウマから逃れるように復讐の鬼と化し、街中でチャラ男にワザと掴まり、人気のない場所で45口径コルトをぶっ放す。

明らかにチャールズ・ブロンソン主演『狼よさらば』からプロットをパクっているのだが、ゾー・タマーリスの演技と銃アクションの魅せ方が素晴らしい。

最初は弱々しい薄幸の乙女のオーラを宿すタマーリスが、段々と『ターミネーター3』のT-Xばりに強靭冷酷な姿へ変貌を遂げていく様はカッコイイ。

そして、円陣を組むように取り囲む野郎。ヌンチャクなんかを振り回す野郎をズガン、ズガン、ズガンと1人1弾で射殺していく姿は痺れる程カッコイイ。

意外と頭でっかちに物語を構築するよりも、本作のように、クールさを突き詰めていった方が、映画としての面白さも持ち合わせつつ、差別への抗議としても素晴らしい代物ができるのではと感じた。

観る機会があれば是非挑戦あれ!

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