ラジオ・コバニ(2016)
RADIO KOBANI(2016)
監督:ラベー・ドスキー
出演:ディロバン・キコ
評価:75点
現在、アップリンクで上映されているシリア内戦に関する中編ドキュメンタリー『ラジオ・コバニ』がNHKの『BS世界のドキュメンタリー』で放送されていたので観てみた。ここ数年、シリア内戦に関するドキュメンタリーがたくさん作られているが、本作は、シリアでラジオ局を開設する大学生に迫る異色作。果たして…
『ラジオ・コバニ』あらすじ
シリア北部クルド人街コバニは2015年1月までISの占領下だった。コバニが解放されて以降、疎開した人々は故郷に戻り、廃墟となった町を復興していた。そんな中、アレッポ大学で社会学を学んでいたディロバンは友人を集めてラジオ局を立ち上げ、「おはよう、コバニ」を放送し始める…シリア 半端ないって
シリアを扱ったドキュメンタリーといえば、多くが激戦地アレッポを扱っている。しかし、本作はアレッポから北東へ2時間半進んだところにあるコバニを舞台にしている。コバニ(アイン・アル=アラブ)はトルコ国境近くの場所で2014年9月~2015年1月までISに占拠されていた。主人公のディロバンは、シリア各地で起きる内戦に問題意識を抱いており、アレッポ大学に入学。しかし、内戦激化で大学に通えなくなってしまう。そこで、解放されたばかりのコバニにラジオ局を開設し、人々に勇気と情報を伝えようとするのだ。
いきなり強烈なシーンから始まる。ショベルカーに遺体を積む。シャベルカーから、片足がデロンと飛び出ている。テレビ放送だからと侮っていたが、あまりに強烈なシーンに目を背けたくなる。また、ISから解放されたとはいえ、爆撃、銃撃戦は頻繁に行われている。カメラは0地点で見えない敵との銃撃戦をカメラに収める。また、廃墟となったコバニは明らかに住むに適さない世紀末となっている。
しっかりと、コバニの現状を映した状態で「おはよう、コバニ」の活動が綴られていく。ディロバンと友人は、物流も情報網も途絶えたコバニに少しでも多くの情報を伝えようとする。しかし、その一方で、人々の苦しみを癒そうと様々なゲストをスタジオに呼ぶ。そしてマイクの前で詩を朗読したり、音楽を奏でたりする。また、彼女は均等な報道を意識し、殺人を犯してしまった兵士を尋問する。
「なんで殺したの?」
「貧しかったから、、、アッラーの教えに従ったまで」
「貧しいからって人を殺していいの?」
ディロバンの活動を観ていると、自分は大学で何を学んだんだろう。大学は出たけれど、全く社会貢献していない自分に恥ずかしくなる。そして、あまりに悲惨なシリアに大迫以上に「シリア 半端ないって」と思う。まだアップリンクで上映されているので、シリア事情に興味ある方は是非挑戦してみてください。
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