【アンジェイ・ズラウスキー特集】『悪魔』監督2作目にしてFPS視点を発明!

悪魔(1972)
Le Diable(1972)

監督:アンジェイ・ズラウスキー
出演:ヴォイチェフ・プショニャック、レシェック・テレシンスキetc

評価:75点

ついにポーランドの鬼才アンジェイ・ズラウスキーDVD-BOX完走しました!初ズラウスキーで観た『コスモス』がワケワケメ過ぎて、ズラウスキー監督に拒絶反応を抱いていたブンブンですが、このDVD-BOXを観て彼に対するイメージが変わりました。めちゃくちゃ面白いではありませんか!ってことで、最終章『悪魔』を紹介します(そのうち『ポゼッション』についても書こうと思います)。

『悪魔』あらすじ

18世紀、混沌とするポーランド。兵士が修道院を襲撃し戦争状態となっている最中、謎の男はヤクプという人物と尼僧を連れ出す。収容されていたヤクプは知らなかった。さらなる地獄を観ることに…

監督2作目にしてFPS視点を開発していた!!

ズラウスキー監督2作目にして、既にFPSな映像作りを確立していた!

18世紀、第二次ポーランド分割により、ポーランドが滅亡し、兵士が修道院を襲う地獄絵図をFPS視点で描くことで観客に追体験させる。国王暗殺未遂として収容されていた男ヤクプと尼僧は謎の男によって、地獄の修道院から救助され、故郷を目指すのだが、ヤクプは『神曲』さながらのさらなる地獄を観る。

なるほど、この作品は巧みにFPS視点を使うことで、ヤクプと同じ位置で発狂ものの地獄を体験させるのか!監督2作目にして圧倒的作家性にノックアウトされる。

ヤクプは、地獄の中に垣間見る恋人や父の残像に狂う。「世界が醜く歪んで見えるのは、わたしが狂っているからなのか、それとも真実か?」

ヤクプは決して、精神疾患者ではない。この世がパラノイアの塊だった。歴史的背景の知識があるに越したことはないが、なくてもこの地獄巡りは新鮮で鳥肌ものの体験をあなたに与えるだろう。

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