30年後の同窓会(2017)
LAST FLAG FLYING(2017)
監督:リチャード・リンクレイター
出演:スティーヴ・カレル、
ブライアン・クランストン、
ローレンス・フィッシュバーンetc
評価:60点
ハル・アシュビーの不朽の名作『さらば冬のかもめ』の非公式続編。何故非公式か?それは、本来期待されていたものとは全く別の作品になってしまったからだ。
リチャード・リンクレイター監督は、『さらば冬のかもめ
』のジャック・ニコルソン、オーティス・ヤング、ランディ・クエイドを40年以上の歳月を経て再集結させたかった。まさにリンクレイター十八番芸だ。しかしながら、オーティス・ヤングは鬼籍に入っており、また他の二人のキャスティングが上手くいかなかった。結局、スティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーンで撮ることとなった。
そんな本作をDVDで鑑賞してみました。果たして…
『ラスト・フラッグ・フライング』あらすじ
ムショ上がりのラリー・シェパードは30年ぶりに旧友たちに会いに行く。彼は妻を失い、息子もイラク戦争で失っている。彼は息子の遺体を引き取らないといけないのだが、心細い。そこで二人の旧友に遺体引き取りを手伝ってもらうことにするが…『さらば冬のかもめ』の二次創作
その為か、リチャード・リンクレイターの情熱が弱くなってしまっているのが否めない。なんたって、『さらば冬のかもめ』は『エブリバディ・ウォンツ・サム‼︎
』や『バッド・チューニング
』に近い野郎のバカ遊ぶ映画であり、輝きすぎている青春に一抹の切なさを添えているあたりまでリチャード・リンクレイターっぽさがある作品なのだから。
だから、本作はまず『さらば冬のかもめ』の続編であることを忘れて観よう。
さて、本作は30年ぶりにベトナム戦争を共にした3人組が再開するところから始まる。ムショ上がりのラリー・シェパードは、2人に「イラク戦争で命を絶った息子を引き取りに行くのを手伝ってほしい」と頼んだことから3人の珍道中の幕が開ける。
旧友と久しぶりに会うと、性格やライフスタイルががらりと変わっていることがある。輝ける青春の一ページを大切にしている人程その変化は直視し難いものがある。
牧師になったリチャード・ミューラーは、昔こそ女遊びをするチャラ男だったが今では敬虔で真面目な牧師。冗談があまり通じなくなり、仲間は不満を溢す。しかし、ミューラーは反対に変化がない仲間を心配する。旧友映画としてこの哀愁漂うもどかしさ表現は上手く描けていたと言えよう。
確かに切ないし、空気感も好きではあるが、リンクレイター監督作品にしては吹っ切れていなかったと感じた。
とはいえ、一瞬だけ吹っ切れていた場面もある。それは劇中に挿入される「ディズニーランド・ヴェトナム」ネタだ(観てのお楽しみ)。
日本公開は6/8(金)
リチャード・リンクレイター監督作記事
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