【酷評】『聖なる鹿殺し』ランティモスにしては凡庸な気が…

聖なる鹿殺し
キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017)
The Killing of a Sacred Deer(2017)

監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、
アリシア・シルヴァーストーン、
ラフィー・キャシディ、バリー・コーガンetc

評価:40点

『Αλπεις』『籠の中の乙女』『ロブスター

』と毎作シュールな傑作を放つギリシャの鬼才ヨルゴス・ランティモス。彼がカンヌ国際映画祭脚本賞を制した新作『聖なる鹿殺し』が日本上陸。ランティモスの前作『ロブスター』が面白かっただけに…

『聖なる鹿殺し』あらすじ

心臓外科医スティーブンは裕福な暮らしをしている。しかし、医者を目指す青年に気を許し家に入れてしまったことから、スティーブンの周りで怪奇現象が起きる…

クドくて煩くて退屈

これが非常に退屈であった。

本作は所謂、怪しい訪問者もの。『歓待

』や『ボーグマン

』のように、怪しい訪問者により自我の奥に潜む暴力が引き出される様子を楽しむジャンル。

本作は、青年が外科医一家に付き纏うことで起こる悲劇が描かれている。現代版ギリシャ神話、オイディプス王をやろうとしているのは明白なのだが、ランティモスにしか撮れないシュールでバイオレントでセクシャルな世界はそこになく、凡庸なゲテモノ映画に留まってしまった。

しかもタチが悪いことに、やりたいことは明白。前半で展開が読めてしまうのだが、それを長々ともったいぶって撮る。正直睡魔との闘いであった。

確かに、廊下を異様なアングルで撮る《画》を隙さえあれば挿入し、不穏な音楽で煽っていくてくる手法は面白いし、ワクワクするものがある。しかし、2時間この手法ワンパターンで押し切ろうとされると、正直がっかりしてくる。ランティモスはもっと手数があると思っていた。ギリシャ神話を現代に置き換え、他のゲテモノ監督が描けない世界を魅せてくれると思っていた。それが本作にはなかった。なんか未体験ゾーンの映画たちやネットフリックスで上映されるB級映画の域を出ない作品に感じてしまった。

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