『DESTINY 鎌倉ものがたり』高畑充希だけで5億点!山崎貴版『裸のランチ』に注目せよ!

DESTINY 鎌倉ものがたり(2017)

監督:山崎貴
出演:堺雅人、高畑充希、堤真一、安藤サクラ

評価:高畑充希の演技に5億点+内容60点

12月2週目のボスキャラがやってきました。その名も『DESTINY 鎌倉ものがたり』だ。ライムスター宇多丸がけなしたことから、シネフィルの敵と化した山崎貴最新作。予告編を観る限り、ダサいタイトル(あれはプロデューサーのせいなんだとか)、安っぽい主題歌に、安っぽいVFX、おまけに大げさな演技で、コアな映画ファンほど反吐がでそうになるような作品だった。ブンブンも、これはワースト映画に入ってしまうんじゃないかとTOHOフリーパスポートを使って当たり屋的に観に行ったのだが、これが…意外と面白かった。ってことで、今日はこの『DESTINY 鎌倉ものがたり』について語っていく。

『DESTINY 鎌倉ものがたり』あらすじ

『三丁目の夕日』の西岸良平の同名漫画をまたしても山崎貴が映画化!ミステリー作家の一色正和は亜紀子と結婚し鎌倉に移り住む。鎌倉には妖怪や幽霊も暮らしており、夫婦はそんな鎌倉で不思議な体験を重ねていく…

山崎貴版『裸のランチ』だった

ブンブンは驚かされた。それは、なんと目の前に映っていたのはデヴィッド・クローネンバーグの『裸のランチ』の世界だったのだ。『裸のランチ』とは、ドラッグ中毒者であった小説家ウィリアム・バロウズがドラッグによる幻覚から生み出したカルト小説。ストーリーこそあってないようなものを、鬼才デヴィッド・クローネンバーグがバロウズの半生とシンクロさせて作った映画だ。

なんでそんなものと『DESTINY 鎌倉ものがたり』がシンクロしているのかというと、まさに世界観がそうだからだ。『DESTINY 鎌倉ものがたり』はスランプの小説家が、鎌倉でイマジネーションを膨らませ妖怪や幽霊と触れ合うという内容。一般人は幽霊や妖怪が見えないのだが、想像力豊かな夫婦には見える。そして、妄想、想像によって世界が広がっていく。妖怪市場や黄泉国という魔空間、非常に雑多で、想像力によって姿を変える不安定な空間に踏み込んでいく姿が、まさしくデヴィッド・クローネンバーグの『裸のランチ』に近いものを感じた。

ブンブンはこの『裸のランチ』が、原作本を職場の引き出しに入れるほど好きなだけに、惹き込まれました。

高畑充希だけで5億点

そして、もう一つこの映画に惹き込まれたポイントがある。それは高畑充希がメチャクチャかわいいのだ。超天然キャラでかまってちゃんな愛妻・亜紀子役を演じた彼女だが、これが殺人レベルに可愛い。夫の書斎に入る際に、「コンコン!」と丸っこいボイスで言う高畑充希。妖怪が怖いので、外出しようとする夫を止めるときの猫のような仕草。アゴのせ。料理シーン。すべてのシーンで天然っぷりを炸裂させる高畑充希のキュンキュン演技っぷりに、山崎貴嫌いなブンブンも鼻血ブーレベルに惚れてしまった。

そう、この『DESTINY 鎌倉ものがたり』は山崎貴がシネフィルに放った富んだクラスター爆弾だったのだ。

もちろん、お話は…察して下さい

このように、山崎貴映画にしては魅力が沢山詰まっているのだが、それでもやはり物語運びは相変わらず微妙なところがありました。予告編に映っているモンスターバトルシーンは物語全体の1/4ぐらいに過ぎない。基本的には『ALWAYS 三丁目の夕日』スタイルで、小話を挿入しまくる物語となっている。それだけに、急に終盤モンスターが登場する場面の出落ち感が半端ない。そして、このモンスターのバックグラウンドが薄いこと薄いこと。折角黄泉国でのシーンは壮大なドラマになっているのに、時間の尺のせいか、カタルシスはない。モンスターもただただ高畑充希扮する妻を誘拐した変態モンスターにしか見えないのだ。そして、肝心なバトルも、えっつその終わり方でいいの?って思うぐらいあっけなく、そして後味が悪いものだった。やはり山崎貴映画だなーと思ってしまったのだ。

最後に…

本作も、ワースト映画ではありませんでした。ストーリーこそ粗が目立つものの、それでも高畑充希の魅力を1000%引き出した山崎貴は凄いなと思うし、『裸のランチ』のようなゲテモノ映画を小ギャグを挟みまくって大衆向けポップコーン映画にしたその技術力は素晴らしい。ヴィジュアル自体は嫌いだが、ヴェトナムのハ・ロン湾や台湾・九份を意識した黄泉国演出も非常に芸が細かかったと思う。

だから、映画ファンよ、、、観ず嫌いせず本作を観に行くことをオススメします。高畑充希に関して言えば、あなたの心を一本満足させないことはないでしょう。

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