【夏休み映画特集】「EL(1952)」ヒッチコックの「めまい」の源泉ここにあり!?

EL(1952)

監督:ルイス・ブニュエル
出演:アルトゥーロ・デ・コルドヴァ、
デリア・ゲルセスetc

評価:60点

夏休み映画と言えば、ホラーですよねー。暑い夏に背筋がひんやり冷えるホラーは格別。今回紹介するのは、シュルレアリズム監督であるルイス・ブニュエルが1952年に作ったホラー。古いホラーだからって侮るなかれ。メチャクチャ怖いぞー

「EL」あらすじ

敬虔なカトリック信者であるフランシスコは教会で一目惚れした女に猛アタック。夫がいるにも関わらず、なんとか婚約に成功するのだが、彼は典型的なソクバッキー!彼女に接してくる総ての男を疑い、彼女を脅す猟奇的な男へと変貌するのだった…

人間が一番怖い

ホラー映画で一番怖いのは、幽霊でも怪物でもなく実は人間だったりする。人間の心の暗部や、コントロールできない部分が表に出るとひやっつとなる。本作は、その点ピカイチの怖さを誇る。よく、恋バナの席で「あいつソクバッキーで、人の携帯電話勝手に見たりするんだよねー」といった話を耳にする。それはどうやら1950年代にもあったようだ。

ソクバッキーになってしまった男は、段々精神がおかしくなっていき、突然愛を確かめ合いたいとキスをしたり、ロープで「首を絞めるぞ」と脅してきたりする。ただそれだけなら、普通のサスペンスで終わってしまうのだが、本作の怖いところは、そのソクバッキー男から見える視点で描かれているところにあります。

カノジョさえも信じることのできなくなった男の目に映る狂気の世界を、2017年の今ですら見ないようなカット割りで魅せていく。幻覚のように映る嘲笑する人々をあそこまで見せつけられると怖い。

「めまい」の原点??

本作はライムスター宇多丸のオールタイムベストに入っていることで有名な作品だが、観ているとあの巨匠アルフレッド・ヒッチコックも大好きだったのではと思わせられる。というのも、教会のらせん階段の上でのサスペンスシーンが「めまい」の有名なあのシーンと完全に一致しているのです。「めまい」は1958年の作品なので、ブニュエルの方が先に撮っている。もしかすると、ヒッチコックは「El」を観て、「めまい」を着想したのかもしれませんね~

ってことで、暑い夏に是非このひんやりホラーを観てみてはいかがでしょうか?

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