永久の語らい(2003)
UM FILME FALADO(2003)
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:レオノール・シルヴェイラ、
ジョン・マルコヴィッチetc
評価:85点
TSUTAYA渋谷で、マノエル・ド・オリヴェイラ監督の「永久の語らい」を借りてきました。1980年代以降、ドンドン作品製作ペースが上がっていき、2000年代には山田洋次級に毎年1本ペースで作品が作られました。そんな彼が2003年に発表した「永久の語らい」はどんな作品なのでしょうか?
「永久の語らい」あらすじ
ボンベイにいる父に会うために母は娘と共に船旅に出る。マルセイユにアテネに、ポンペイ、さらにはエジプトまで巡る…オリヴェイラ版「世界ふれあい街歩き」
ピースボートらしきもので、歴史学者の女が娘と一緒にマルセイユ、パルテノン神殿、ポンペイ、ピラミッドと世界旅行するという内容。
まるで「世界ふれあい街歩き」のように、行く先々で人々と語り合うのだが、どうもおかしい。新手の拷問かなと思う、マルセイユのワンコに対する扱い、エジプトで現れるナンパ男、娘の船長に対するキツい一言etc…異様な感じだ。特にブンブンを驚かせたのはマルセイユノワンコ描写。4Kのテレビで観ると、「沈黙
」か!と突っ込みを入れたくなる。というよりか動物愛護団体がマッハで飛んできそうなヤバイ描写すぎて草が生えます。船が並に揺られる。ワンコは船に縛り付けられているので、船が岸から遠ざかると、ワンコは首輪が引っ張られて水に墜ちそうになるのだ。オリヴェイラのSっけが際立つ。
そして、そういう鬼畜なシーンをよそにオリヴェイラ映画十八番のアカデミックな会話が展開される。
「世界は英語に植民地化された」というオリヴェイラの怒りも感じる一言に観る者は魅せられるのだが、なんと言ってもラスト。
「タイタニック」さながらのカタルシス、オラキヨ体操クラブの「思わぬ展開でエンディングを迎えるB級インド映画」さながらの演出に発狂しそうになった(褒め言葉)。
これはオリヴェイラ映画史上最もびっくりエンディングと言えよう。
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