チェ・ブンブン上半期ベストテン2017発表!
下半期も始まって1カ月経とうとしています。今年は、「第7回 映画の“ある視点”について語ろう会」にゲストとして呼ばれ、そこで上半期ベストテンを語る関係上、ブンブンのベストテン発表を封印していました。昨日、その映画オフ会が終わったので、発表していきます。
もくじ
第1位:「バンコクナイツ」
監督:富田克也出演:富田克也、
スベンジャ・ポンコン、
スナン・プーウィセット、
チュティパー・ポンピアンetc
一切DVDを作らず、破天荒な撮影でカルト的人気を誇る空族最新作「バンコクナイツ」は、「ズートピア」や「ブルックリン」など、移民映画に強い諸外国と比べても非常にレベルの高いグローバル的問題を提示していた。先進国のルーザーズが、「サウダーヂ(憧れ、郷愁)」を抱き発展途上国へ行き、貧しき者を搾取する。現地の貧しき者は、豊かさを求め都会へ行く。まさに今世界で起こっていることを、説教臭くなく、寧ろクールに、そしてDOPEに描き切ったところにぐっと来ました!
第2位:「レゴ バットマン ザ・ムービー」
監督:クリス・マッケイ声の出演(日本語吹き替え):
山寺宏一、子安武人、
小島よしお、おかずクラブetc
今年最大のナーメテータ大賞!レゴ×バットマン×芸人吹き替えという危険極まりないアウトライン。しかし、バットマン映画として「ダークナイト」を超える大大大傑作でした。悪が消えたゴッサムシティ、悪を倒し市民からの社会的承認を生きがいにして生きていたバットマンの痛すぎる虚栄心がロビンを通じて変化していく。そう、これはヤングアダルトから大人になるバットマンの立派な成長物語だ。「そして、父になる」だ!小島よしおの吹き替えもめちゃくちゃ上手く素晴らしかった。
第3位:「ありがとう、トニ・エルドマン」
監督:マーレン・アーデ出演:ペーター・シモニスチェク、
サンドラ・フラー、
ミヒャエル・ビッテンボルンetc
ヨーロッパ版「男はつらいよ」は評判通り凄まじい作品であった。これは、ミヒャエル・エンデの「モモ」を見事にアレンジした作品にも見える。大手企業のコンサルタントとして働く娘が、発展途上国の資産を食い物にしつつ、時間に追われ心が貧乏になってしまっている現代社会の闇を、父親の寒いおやじギャグによる茶番で描き切る凄み。なんなんだコレは!!!
第4位:「沈黙」
監督:マーティン・スコセッシ出演:アンドリュー・ガーフィールド、
リーアム・ニーソン、
アダム・ドライヴァー、
窪塚洋介、浅野忠信、
イッセー尾形、塚本晋也、
小松菜奈、加瀬亮、
笈田ヨシ
遠藤周作の「沈黙」の最大のウリポイントは、「日本人が外国人の目線で、島原の乱時代の日本を描いた」というところ。それを外国人が映画化する時点で大きなハンディキャップであったが、スコセッシ長年の夢故か素晴らしい作品であった。時代劇は時代劇でも、溝口健二寄り。ツラクテツラクテしょうがなかった。素晴らしき文芸作品といえよう。
第5位:「AMERICAN HONEY(日本未公開)」
監督:アンドレア・アーノルド出演:サシャ・レーン、
シャイア・ラブーフetc
三度目のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した女性監督アンドレア・アーノルド作品。ネグレクトに耐え切れず、家出し夢に満ち溢れたパリピ集団と共に行動する少女の物語。憧れていた夢の世界にも厳しさがあり、少女は最初こそ戸惑いながらもそれを乗り越えていき「女」になっていく様子は「ブルックリン
」を彷彿とさせる。
未来がわからないからこそ、無軌道に生きる若者ならではの開かれた世界をアーノルド監督は圧倒的ビジュアルとドープな音楽で見事に演出しきった。
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