【アフリカ映画研究】「Samba Traoré」ブルキナファソ映画を観てみた

Samba Traoré(1993)

監督:イドリッサ・ウエドラオゴ
出演:Bakary Sangaré,
Mariam Kaba,
Abdoulaye Komboudri etc

評価:80点

今年はアフリカ映画を攻めようと決めているチェ・ブンブン。そんなブンブンは「

」に引き続き、ブルキナファソのイドリッサ・ウエドラオゴ監督作「Samba Traoré」を観ました。本作はベルリン国際映画祭で特別銀熊賞を受賞した作品。果たして…

「Samba Traoré」あらすじ

街で強盗を働き、大金を手にしたサンバは村へ凱旋。好きな女の子と結婚式の準備を始める。しかし、村人の詮索に段々心が耐えきれなくなっていく…

小津安二郎のような作品

小津安二郎映画には殺人みたいな物騒なネタはほとんどないものの、この「Samba Traoré」は小津安二郎映画を彷彿させる人情物語がありました。強盗すれど、殺した人に対し後ろめたさがある。しかし、村人に真実は語れないので笑顔を振りまく。村人も表向きは笑顔だが、「あいつどうやって大金を手にしたんだ」と意地悪に詮索する。笑顔から滲み出る不気味さは「東京物語」に通じるものがあります。

「掟」もそうだったが、イドリッサ・ウエドラオゴ監督作は村社会の窮屈さを描くのが上手い。表向きは平和なんだけれども、常にただならぬ不気味なオーラが流れている。本作の場合、それが顕著に表れていて、音楽も陽気だし、後半の後半になるまで明るいトーンで物語が進むのだが、常時緊張感がビンビンと伝わってきます。

観客は総て知っている。神の目線だからか、スリリング。このスリルさはヒッチコックの「ロープ」さながらでもあります。

アフリカ映画の都市性

発展途上国の映画が世界で権威を振るっている映画祭で勝つジンクスとして、その国の文化を押し出しているかにあります。アフリカ映画の場合、宗教や部族の争いを描いている作品が賞を獲る傾向にある。しかし、ブンブンは果たしてそれでいいのかと思ってしまう。アフリカが都市部で現代劇を撮り、それで賞を獲ってこそ始めてその国の映画技術が認められる、世界に通用することを証明したことになるのではと考えてしまう。

そう考えると、本作は都市部での現代的な活動も描かれており、都市部と田舎のコントラストを利かせていたので、「掟」よりレベルの高い作品だと思いました。是非、機会があれば挑戦してみてください。

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