家族はつらいよ2
監督:山田洋次
出演:橋爪功、蒼井優、妻夫木聡、
笑福亭鶴瓶etc
評価:75点
山田洋次最新作、「家族はつらいよ2」(個人的にタイトルは「続 家族はつらいよ」が良かったな)を観てきました。実は前作を観ていなかったのですが、これが安定の山田洋次クオリティ。問題ありませんでした。また、予想に反し、決して「男はつらいよ」の二番煎じ、駄作でもありませんでした。今日はそのことについて語ります。
「家族はつらいよ2」あらすじ
大黒柱・周造はマイカーライフを楽しんでいるものの、老いにより車に度々傷を付けてしまっている。いつか事故を起こすと家族は心配し、彼に運転免許返上を求めるよう説得するがなかなか聞いてもらえず…安定の社会派喜劇!
山田洋次監督は「男はつらいよ」の時から、定時制高校や過労による自殺などといった時事問題を絶妙な塩梅で喜劇に仕立て上げていた。そんな山田洋次監督は今回、昨今問題視されている「老人の自動車事故」「孤独老人」についてメスを入れている。
高齢化社会になり、老人を巡る問題はメディアでも熱く取り上げられている。前者においては、アクセルとブレーキを間違えてコンビニに老人が運転する自動車が突っ込んだり、高速道路を逆走したりする問題が取り上げられている。後者は、近年底辺老人として70歳を超えても肉体労働に勤しみ、身よりもなくわびしく孤独な生活を送っている様子が特集として報道されている。
山田洋次監督はそんなシリアスな問題を実に見事な「笑い」で観客に投げかける。具体的には、ボケが始まり、自動車運転が危なくなった老人を説得するのが如何に難しいかを、コミカルに描いているのです。一見、大げさなコントに見えるが、しっかり観ると、何故老人は運転を止めたがらないかの理由が、老人の自尊心に起因することがよく分かる。老人は子ども扱いされること、自由がなくなることに抵抗しているのです。これを、「東京家族」以上に小津安二郎の「東京物語」に寄せて描く。つまり、家族が老人を煙たがり、対応を人に押しつけていく演出を入れることでより一層生々しさが増します。それでもって、ここまで爆笑するとは!劇場の老人達が、まるで応援上映のように「事故るよ~」「アッラー」とヤジを飛ばしているとは!やはり山田洋次監督の技量は凄い。
そして、そこから「孤独老人」の問題へと深く入っていく。ギャグも脂が乗って来て、まるでピタゴラスイッチのような爽快さを帯びてくる。「男はつらいよ」お馴染みの階段という空間を使ったギャグ(もはや橋爪功が第二の寅さんにしか見えないw)、家族がガヤとなり泣き、怒り、笑いが混沌としたギャグもファンサービスとして取り入れている。
もう「男はつらいよ」ファンのブンブンの心を鷲掴み!観て正解な作品でした。
P.S.
劇中に「男はつらいよ」(多分パッケージ的に柴又慕情)のDVDがカメオ出演しているぞ!
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