「Ma Loute」ブルーノ・デュモンの歪んだ観光客像

北欧旅行で観た映画7:
Ma Loute(2016)

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監督:ブルーノ・デュモン
出演:ファブリス・ルッチーニ、
ジュリエット・ビノシュ、
ヴァレリア・ブルーニetc

評価:90点

フィンエアーは、コアな
アート映画を機内エンター
テインメントに用意していたりする。
今回紹介する、
ブルーノ・デュモンの
シュールなアート映画
「Ma Loute」は
なんとそのフィンエアー
で掛かっていたのだ!

カンヌ国際映画祭コンペ作
の「Ma Loute」はいかに…

「Ma Loute」あらすじ

時は1910年。
北フランスの貧しい漁村に、
富豪一家がやってくる。
別荘でバカンスを送る、
富豪一家に貧しい漁村一家は
いらだちと憎しみを抱く。
そんな中、長男マルートが
富豪の女の子と恋愛関係になる。

一方、漁村では行方不明者が
続出し警察は漁村一家を疑う…

歪んだ寓話に目覚めた
ブルーノ・デュモン

当ブログでも紹介したテレビシリーズの
映画版「プティ・カンカン


がその年のカイエ・ドゥ・シネマベストテン
で1位を獲り、味を占めたのだろう。

ブルーノ・デュモン監督は
「Ma Loute」で本気のディッド・リンチ
寄りなシュール寓話
を創造した。

そして、それがブンブンの
心を鷲掴みにするものであったのだ!

観光客と現地人のカリカチュア

本作を観ると、
ウザイ程に現地民を見下した富豪や、
憎しみからその富豪に対し
渡し舟を使わせず、
人力で対岸に運ぶ漁村一家、
調査方法が非効率で酷すぎる
警察官などが描写されている。

これをじっくり観ると、
観光客と現地人の関係が
上手く風刺されていることが分かる。

皆さんも海外旅行をすると
写真を撮るだろう。
現地人を風景として撮っていませんか?

まさに、旅行者が
「田舎っていいよねhaha!」
「○○の人って優しくて面白いよね!」

と言うのに対し、
現地人が、
「おめぇら金持ち、マジで目障りなんだよ」
と思う関係性を、非常に
歪んだ寓話で風刺して魅せたのだ。

シャルリーエブドの風刺画を始め、
フランスらしい。でも的を射た
風刺にブンブンはドンドン画面に
のめり込みました。

渡し舟描写に注目

同じような作品の「パラダイス:愛

」と
比べても、映像に映し出される
光景は異様だ。

なんたって、漁村一家は
本当に気を許した人でないと、
渡し舟で対岸に移動して
くれないのだ。

つまり、
乗りたい富豪がいても、
「ほな捕まってくれ!」と
お姫様だっこをし、
人力で対岸に渡すのだ。

そして、対岸に着いたと
思ったら、漁村一家は
富豪を投げ飛ばし
暴力を振るう。

まさに、漁村一家を
ナメタ罰を食らうのである。

観る人を選ぶ、
くせ者映画だが旅行好きの
心には刺さる映画。
日本公開はあまり見込めない
ブルーノ・デュモン監督作品
なので、
興味ある方は、
アンスティチュ・フランセで
上映するのを首を長くして待つか、
DVDを買うかして観てください。

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