“Ç”【解説】「光りの墓」公開記念アピチャッポン幻の作品日本上陸「世紀の光」

世紀の光(2006)
Syndromes and a Century

監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン
出演:ナンタラット・サワッディクン、ジャールチャイ・イアムアラームetc

評価:65点

「ブンミおじさんの森」でタイ初パルムドールを
仕留めた鬼才アピチャッポン・ウィーラセタクン。
難解な作品を作り続けている為、
タイでは全く興行収入振るわないらしい彼は
ヨーロッパのシネフィルの間で人気を博しており、
最新作「光りの墓」がカイエ・ドゥ・シネマ誌
ベストテンにも選出されている。

イメージフォーラムでは3月に「光りの墓」を
公開するのに合わせアピチャッポン特集が
組まれました。この3連休満入御礼だった
日本初公開作品「世紀の光」を観てきたぞ~

輪廻転生型ラブストーリー

本作は2部構成になっている話である。
そして、どちらも多忙な女医と
男の恋愛を同じような脚本で描いている。

例えば、面接シーン。
女医が受験生に、
「DDTの意味は?」と聴き、
受験生が「汚い害虫駆除」と言う台詞は
全く同じである。しかし、
前編後編で役者の立ち位置を反転させ、
まるで鏡のような演出にしたり、
ほんの一台詞書き換えることで
物語に面白さを与えている。

英語タイトルである
Syndromes and a Centuryは「行動様式」とアピチャットポン
の解釈で「前へ進んでいく」を表している。

つまり、本作では時間の経過で変わるものと
変わらないものを意識した作品となっている。

仏教をユーモラスに

アピチャッポンは「ブンミおじさんの森」の
時も感じたのだが、仏教をファンタジーとして
でも難解に描いていく監督である。

本作でも露骨に輪廻転生の思想が
色濃く描かれている。
前半の話の舞台がボロ病院、
後半の話の舞台が近代的病院。

ラストシーンで工業地帯に引っ越すフラグを
立てる病院から工業へと、
近代から原始へと回帰する。

また僧が度々、前世の話をする。

前半が「過去」後半が「未来」のパートの
ような気がするし、前半と後半で
パラレルワールドの気がする。

公式サイトの監督インタビューによると
どうやら監督は本作で「記憶」を
大切にしているようなので、
「どこかで観たことがある」って感じが
重要らしい。

確かに、皆さんこんな経験はないだろうか?
昨日の出来事を思い返した時に、
昨日の出来事と同じような出来事が
もっと昔にあったのではないか?と。

本作は、確かに僧が女になんとかして
薬を沢山もらおうと説得するシーン、
何よりも日本人バンドNEIL&IRAIZAの
「Fez」
って曲を
ダサ過ぎるダンスのサントラに
使うあたりなどギャグ要素は多い。
しかしながら、難解で「感じる」そして
深く考えて観る映画と言えよう。
また観たら新たな発見ありそうだ。

イメージフォーラムが今熱い!

イメージフォーラム

昨年12月に「ハッピー・アワー」

が公開されてから
イメージフォーラムが大盛況!
昨日朝10:20頃に行ったら既に長蛇の列!
「ハッピー・アワー」「世紀の光」満席
続出でした!
そして近日公開作品もなかなか凄いぞ!
皆さん、イメージフォーラムの作品は
要チェックだ。

牡蠣工場

日本の第一次産業で働くアジア人の
労働環境が酷いと最近メディアで
話題となっている。それに迫った
ドキュメンタリーが2月に公開される。
監督は「観察映画」という独自ジャンルを
貫き通す想田和弘だ!
外国人労働者育成にかかる資金は?
地元の若者は?
どんな労働環境?映像による社会科見学で
謎が明かされていくぞ!

不屈の男 アンブロークン

日本の一部の方の激しい抗議運動で、
日本公開が危ぶまれたアンジェリーナ・ジョリー
が監督した「戦場のメリークリスマス」。
一つの映画の中に「炎のランナー」「ライフ・オブ・パイ」
「戦場のメリークリスマス」が詰まった濃厚な作品。
ブンブンはフランス留学中に観たが、
そんな批判される材料なかったぞ~
こちらも2月公開だ。

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