インビクタス/負けざる者たち(INVICTUS)
監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモンetc
評価:90点
文化人類学の授業で、
観た。恐らく4年ぶりぐらいに観たのだが、
当時分からなかったイーストウッドの細かい
手腕が見え隠れして、改めてイーストウッド
ってすげえ監督なんだなと痛感
させられたぞ~
題材、間合い、総てが計算されつくしている
ネルソン・マンデラと言えば、アパルトヘイト時代に反体制活動家として27年も投獄されたが、
魂を失わずに耐え続け、南アフリカ共和国初の
黒人大統領になった男である。
普通この人生を見た際、
投獄時代を描きたくなるであろう。
投獄時代を描いた作品「マンデラの名もなき看守」
しかし、イーストウッドはマンデラが
大統領になった後、
しかも南アの弱小ラグビーチームである
スプリングボクスを立て直した
正直「大統領」っぽくない仕事に
目をつけたのだ。
故に、本作では決してテロリストに
銃を持って闘わないし、
政界の人との心理戦も少ない。
描かれているのはマンデラの
経営者としての側面であり、
観ていて不思議な作品である。
そして、何より今回見直して、
すげーと思ったのは、「間合い」。
マンデラが大統領になり、
黒人警備員は喜ぶ。
「白人警備員が消えたぞ!」と。
しかしながら、ラグビーの試合警備の
人員が不足した時、マンデラはかつて
敵だった白人の警備員を配属させる。
その時の黒人警備員と白人警備員の
対立が一触即発で怖い。
しかしながら、マンデラを心から
尊敬している黒人警備員は
嫌々ながらもふっと心を
落ち着け彼らを受け入れる。
この5分間のシークエンスが
非常に印象的で物語の
テーマを支配させている。
ラグビー以外のシーンで
「象徴」を既に仕込んでいた点
お見事と言えよう。
そして、モーガン・フリーマンの
立ち振る舞いも非常にクールだ。
どんなに忙しくても、
ラグビー会場の観客席に立ち入り、
挨拶を行ったり、スプリングボクスの
主将とアフタヌーンティーを楽しむ。
忙しいそぶり一つさせずに。
これを観ると、成功する経営者の
魂が見えてくる。
INVICTUSの意味
本作の原題INVICTUSとは、
マンデラが獄中で心の支えにした
ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの
詩のタイトルである。
中身は次のようになっている↓
「
鉄格子にひそむ奈落の闇
激しい怒りと涙の彼方に
私はあらゆる神に感謝する
恐ろしい死が浮かび上がる
我が魂が制服されぬことを
だが、長きにわたる脅しを受けてなお
私は何ひとつ恐れはしない
無残な状況においてさえ
私はひるみも叫びもしなかった
門がいかに狭かろうと
運命に打ちのめされ
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
決して屈服はしない
私が我が指導官なのだ
」
マンデラが秘書に
「リスクを恐れる者は大統領になれない」
という所ににじみ出ており、
イーストウッドを再評価しました。
さて余談だが、モーガン・フリーマン
が出演する「ラスト・ナイツ」もうすぐ
公開ですね~どうなんだろー
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