”Ç”こんな映画観たことない「この空の花 長岡花火物語」

この空の花 長岡花火物語

この空の花

監督:大林宣彦
出演:松雪泰子、高嶋政宏、猪股南etc

評価:95点

ブンブンが高校生の時、
アップリンクで大林さんの「この空の花」を観て
衝撃を受けた。「なんじゃこりゃ!」と。
あまりにもアヴァンギャルドな作風、
難解なストーリー構成、大林映画を
観慣れていたブンブンでも
圧倒されました。

今回、ブンブンが受講している映画の授業で
発表の機会を設けて戴いたので、
クラスメイトと「この空の花」の
分析をしたぞ~

ストーリー構成

非常に難解ってか、
時系列をシャッフルしまくっている
作りで、リアルに「時をかける少女
の感覚を疑似体験できる作品故に
一回目だとなかなかストーリーが
つかみにくい。でも三回観ると
読めてくるぞ。下記のような
構成になっています。

①【1993年】遠藤玲子は取材で
長岡に訪れる。彼女は長岡の知られざる
過去を知ると共に被爆二世だと知り、
子どもを作る自信がなくなり(?)
失踪する。

②【2011年】18年前、突如失踪した
遠藤玲子の夫である片山健一は
長岡で教師をしていた。
ある日、元木花という一輪車に乗った
不思議な生徒から渡された台本に
導かれるように、長岡の秘密に
迫る。と同時に18年前、何故妻が
失踪したのかを理解する。
そして、遠藤玲子を
長岡に呼び寄せ復縁しようとする。

③【2011年】1945年に戦争で亡くなった
元木花は、戦争の悲惨さを伝えようと
18才の姿となり学校に潜伏する。
そして、長岡の人々を巻き込み、
まだ、戦争には間に合う」という
劇を完成させようとする…

クラスの評判

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↑ブンブンのレジュメ。クリックすると拡大するぞ~

映画人やネット上だと、
絶賛の声しか上がらず批判の声を
聞きたいなと思っていたら、
ちゃんとクラスから批判の声があった。
「戦争を描いているなら、ちゃんと描け」
「ドキュメンタリーかファンタジーか統一してくれ」
「わけがわからん」
「2011年の作品なのに映像がチープ」

と大林映画初見者の率直な意見を聞けて
よかったぞ!

「この雨痛いな」「戦争なんて関係ないのに」問題分析

さて、この作品観たら誰でも抱く疑問。
物語前半の別れのシーンは何を意味していたのか?
唐突に、松雪さんが「わたしたち戦争なんて関係ないのに」
と言うと高嶋さんが「この雨痛いな~」と言って別れる
謎ショット。

クラスで議論した結果、一応納得いく結論にたどり着きました。
①遠藤玲子は別れる直前、長岡市に赴き
長岡の戦争の悲惨さを知る。
(長岡市の描写が1993年と2011年とで別れているのが分かるシーンが
エンドロール付近、前半で松雪さんがタクシー運転手の名前を
言い彼が驚くシーンがあるにも関わらず、
エンドロール付近でも同様のシーンがある。
運転手との「再会」を表している為、前半は1993年の事を言っている。
また、前半の長岡市の描写が2011年だとすると、
あそこまで強烈に別れのシーンを描いた理由がわからない。)

遠藤玲子は取材を通して、自分が原爆2世だったことを
意識する。

②果たして、自分に子どもを産めるのだろうか、
被爆二世だから奇形児が生まれるかもしれないという
不安に負け遠藤玲子は「わたしたち戦争なんて関係ないのに
と残して去る。

③片山健一の「この雨痛いな」発言は、
「黒い雨」のメタファーとして入れたのでは?

この作品、今回ブンブンも深読みしてみると、
「ジャーナリスト」と「先生」の和解の物語
ととれる。

「ジャーナリスト」は取材を通して真実を
知るフィールドワーク寄りの人間。

一方「先生」は教科書に書いてあることを教える
机上の空論寄りの人間。

これは、「先生」が「ジャーナリスト」を
18年かけて知る物語なんじゃないかなと
感じました。

やっぱり、ディスカッションすると
いろんな新しい見方が見つかって
楽しい。「ニンフォマニアック

」に
しなくて本当に良かった良かった(*^_^*)
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「この空の花 長岡花火物語」予告編

関連項目

ライムスター宇多丸の解説

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