【速報】第71回カンヌ国際映画祭パルムドールは『万引き家族』!21年ぶりに日本映画が受賞

第70回カンヌ国際映画祭受賞結果

パルム・ドール:万引き家族

監督:是枝裕和

すげええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!

今村昌平の『うなぎ』以来21年ぶりに日本映画が最高賞パルムドールを受賞しました!!!!!!!!!

批評家評が異常に高かったものの、映画祭終盤、イ・チャンドンの『BURNING』やヌリ・ビルゲ・ジェイランの『Ahlat Agaci』など強敵が多かっただけに凄すぎます。

特別パルムドール:Le Livre D’image

監督:ジャン=リュック・ゴダール
やはり、ゴダールの扱いに悩んだか。あまりに悩みすぎたようで、特別パルムドールという部門が爆誕した。またしてもトンデモナイ映像の洪水だそうです。まるで『2001年宇宙の旅』の猿人のように批評家がこのモノリスに平伏した事で、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ミケランジェロ・アントニオーニ、ロバート・アルトマンに継ぎ、4人目の三大映画祭最高賞受賞監督になりました。(2018/05/21更新 ロバート・アルトマン抜けてました すみません…)(この前まで、てっきり誰三大映画祭最高賞コンプリート者いないのではと思っていたら、実は2人前にいました)アア、ソウデスカ、、、

※3大映画祭制覇者リスト
・アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
 ☆金熊賞:『恐怖の報酬』 
 ☆カンヌグランプリ:『恐怖の報酬』
 ☆金獅子賞:『情婦マノン』

・ミケランジェロ・アントニオーニ
 ☆金熊賞:『夜』
 ☆カンヌグランプリ:『欲望』
 ☆金獅子賞:『赤い砂漠』

・ロバート・アルトマン
 ☆金熊賞:『ビッグ・アメリカン』
 ☆カンヌグランプリ:『M★A★S★H マッシュ』
 ☆金獅子賞:『ショート・カッツ』

・ジャン=リュック・ゴダール
 ☆金熊賞:『アルファヴィル』
 ☆特別パルムドール:Le Livre D’image 
 ☆金獅子賞:『カルメンという名の女』

グランプリ:Blackkklansman

監督:スパイク・リー

KKKに戦いを挑んだ黒人捜査官の実話を巨匠スパイク・リー監督が映画化。久しぶりに、スパイク・リーらしい作品だと評判だったが、まさか強いアジア勢を出し抜いて受賞するとは!意外なダークホースでした。

監督賞:パヴェウ・パヴリコフスキ
(Zimna Wojna)

イーダ

』のパヴェウ・パヴリコフスキ監督が、戦時中の恋愛をモノクロで撮った作品。批評家評判もそこそこ良かったことから順当に受賞。

脚本賞1:Se ROKH
(3 VISAGES)

イラン政府にロックオンされ、軟禁状態の監督ジャファール・パナヒが撮った『人生タクシー

』の続編。残念ながら、ジャファル・パナヒ三大映画祭最高賞受賞ならず。

脚本賞2:アリーチェ・ロルヴァケル
(LAZZARO FELICE)

夏をゆく人々

』『CORPO CELESTE

』のアリーチェ・ロルヴァケルがイタリア田舎町で渦巻く貧困によるドロドロ人間ドラマ。批評家評も高かっただけに無事受賞。ブンブンが全力で応援していた監督だけに嬉しいぞ!

男優賞:Marcello DONTE
(DOGMAN)

監督:マッテオ・ガローネ

『ゴモラ』『五日物語

』のマッテオ・ガローネのギャングスタ映画バイオレンス映画(てっきりギャングスタ映画だと思っていたら東京国際映画祭作品選定ディレクターの矢田部さん曰く、犬のトリマーと粗暴な友人とのバトル映画らしい)。てっきり、批評家評判の高かった同性愛映画『Plaire Aimer Et Courir Vite』の男優が獲ると思っていただけに意外。まあ、貧困や性的マイノリティを演じた役者だけが獲ってもねぇという感じだから、バランスが取れていると言える。

女優賞:Samal YESLYAMOVA
(AKYA)


個人的に、女優賞はずっと彼女が獲ると思ってました。カザフスタン映画で、貧困と妊娠に悩まされる女性を描いた作品だ。

審査員賞:Capharnaüm

監督:ナディーン・ラバキ

カンヌ評判が以上に高かった『キャラメル』のナディーン・ラバキ監督作品。映画会社の人らしき方も大絶賛しているので、日本公開見込めそう。

カンヌ・サウンドトラック賞:Leto
(キリル・セレブレニコフ)

80年代のソ連を舞台に、アングラロックに情熱を捧げた若者を描いた作品。カイエを始め、多くの映画誌が絶賛、満点をつけた作品だ。東京国際映画祭作品選定プロデューサーこと矢田部吉彦も賞賛していたので、東京国際映画祭で観られるかもしれません。

パルムドッグ:Dogman

監督:マッテオ・ガローネ

マッテオ・ガローネのバイオレンス映画。今回、犬映画が少なかったのもあり、当然の受賞と言えよう。

Prix François Chalais:Yomeddine

監督:A.B Shawky

カンヌ開催前から業界人の間で話題となっていたエジプト発のロードムービー。ただ、蓋を開けてみたら、意外と批評家厳しめの評価となってしまいましたが、サブ賞を受賞しました。よくわからない賞だが、特別賞に近い位置付けのようです。

カメラドール:GIRL

監督:Lukas DHONT

クィア・パルム:GIRL

監督:Lukas DHONT

エキュメニカル審査員賞:Blackkklansman

監督:スパイク・リー

国際批評家連盟賞

コンペティション:BURNING

監督:イ・チャンドン
村上春樹の『納屋を焼く』をイ・チャンドンが映画化。『ポエトリー』以来長い沈黙をしていたイ・チャンドンであったが、NHKが企画を持ち込んだことにより実現した。韓国には納屋がないらしく、温室に変更されているのだが、批評家からは大絶賛。どの映画誌も満点に近い評価をしていた作品。『LETO』や『Plaire Aimer Et Courir Vite』という強豪を倒し、無事受賞に至りました。早く観たいぞ!

ある視点:GIRL

監督:Lukas DHONT

批評家週間:Egy nap

監督:Zsófia Szilágyi

黄金の馬車賞

マーティン・スコセッシ

感想

昨年は作品のレベルが低く、また審査員のセンスが悪かったので微妙だったカンヌ国際映画祭だったが、今年は2014年以来の神回といっても過言ではないでしょう。ラインナップも、比較的若手監督が多く、比較的どれも評判が高かった。またアジア勢の評判が抜群に高く、是枝裕和、濱口竜介、イ・チャンドン、ヌリ・ビルゲ・ジェイランと高評価が相次いだ。

そして、結果も非常にバランス良く新鋭、巨匠それぞれに賞を与える形となりました。批評家評が満点に近かったイ・チャンドン×村上春樹の『BURNING』こそ無冠に終わったが(一応国際批評家連盟賞が拾ってくれました)、是枝裕和の『万引き家族』が最高賞に当たるパルムドールを受賞できたことは、サイコーに嬉しいです。最近の是枝裕和監督作品はどうも賞に媚びている印象があり相性が悪かった。無論今回も、賞に媚びている感じはするのだが、『誰も知らない』の頃に原点回帰している気がして個人的に好感触でした。それだけにこの受賞、なんたって今村昌平の『うなぎ』以来21年ぶりの受賞には胸が熱くなるばかりでした。

是枝裕和監督作品レビュー

“Ç”【酷評】カンヌに媚び過ぎ「海街diary」

“Ç”是枝最新作「海よりもまだ深く」許しが強すぎるんじゃない?

【ネタバレ解説】「三度目の殺人」尾頭ヒロミは検察官に転職していた!

→NEXT:ある視点部門

4 件のコメント

  • 驚きました。21年ぶりに日本映画がパルム・ドールを受賞したのは嬉しいのですが、私はどうも是枝さんがちょっと…(^^;)
    正直この人の映画は「誰も知らない」以外いいと思ったことがないです。狙ってる感が強くて。
    嬉しいけど残念、もっといい映画なかったのという複雑な気持ちです、

    • 杏子さん、コメントありがとうございます。自分も、是枝監督は河瀬監督同様、海外に媚びている感じがしてあまり好きではない監督の一人です。
      とはいえ、ここ最近の是枝監督作品と比べて勝負に出ている感じがしました。

      『万引き家族』という下手すれば、犯罪を肯定してしまうような内容。貧困層を自分のタッチで描けば、それだけで海外の映画人を虜にできるところを、一歩危険なひねりを入れ勝負に出たところは、賞賛できるのではと思いました。日本公開が楽しみですね♩

  • こんちには、いつも楽しく読ませていただいております。

    三大映画祭最高賞覇者はクルーゾー、アントニオーニの他にロバート・アルトマン(パルム:「MASHマッシュ」「ザ・プレイヤー」、金獅子:「ショート・カッツ」、金熊:「ビッグ・アメリカン」)もいらっしゃるのでお忘れなく!

    • エステラドさん、ありがとうございます。確かにアルトマン獲ってましたね。記事に反映させます♩

  • コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です