“Ç”王道…しかし泣ける細田版ベスト・キッド「バケモノの子」

バケモノの子(THE BOY AND THE BEAST)

バケモノの子

監督:細田守
声の出演:宮崎あおい、染谷将太、役所広司、広瀬すずetc

評価:85点

時をかける少女」や「おおかみこどもの雨と雪」等、
ヒットアニメを量産し、
サマー・ウォーズ」では、あのラピュタに継ぐ
ネット住民賑わす「よろしくおねがいしまああああす!
という名台詞を残した日本を誇るアニメーター
細田守の新作が公開された。

その名も「バケモノの子」!
エンドロールを観るとフランスの配給会社
Gaumontの名が上がっていることから、
海外展開を見据えた作品だが、果たしてその
中身は…

「ベスト・キッド」ですw

予告編でも明らかだが、この作品は
明らかに「ベスト・キッド」を意識している。

内気な少年が、見かけからは想像もつかない超人空手使いに
空手を習い、成長する…まずストーリーの根幹が同じである。
そして、強い男になる為には、雑巾がけやポーズから入る
ってところも忠実に再現している…同じやないか!
しかも、海外販売を狙ってか日本色ではなくアジア色を
強めて描いている…ここまで聞くと
海街ダイアリー」みたいな海外に媚びすぎた
作品に思えるかもしれない。

しかし、王道を走って置きながら定石外しを行い、
映画好きの目から涙をも出させるのが細田守。
今回は、男の心を揺さぶりました!

オマージュとして外さない作り

よく、映画監督が間違える手法として
オマージュの取り扱い」ってのがある。

オマージュが成功する条件として、
」と「ひねり」があることが大事だ。
タランティーノ映画は論文に例えるなら
wikiからの剽窃で作った作品なのだが、
彼の作品が評価されるのは「愛」と
「ひねり」をわきまえているからである。

キル・ビル」では「片腕カンフー対空とぶギロチン
の空とぶギロチンを女子高生に持たせ、
さらにソレダケではなく、劇中のBGMまで
引用しているユニークさが、
徹底したキャラ作りにマニアだけでなく
映画初心者でも楽しめる作りになっている。

閑話休題、
「バケモノの子」の場合、
「ベスト・キッド」の重要な要素である
師匠と弟子の友情をしっかり描いている。
コントロールの効かない少年・九太と
暴れん坊の師匠・熊徹。最初は喧嘩し、
いがみ合うだけの関係だったが、
九太が次第に寄り添うようになり、
稽古シーンにキレが出始める。
その過程は「ベスト・キッド」
ファンにはたまらない。
また、中・高校時代部活に
熱中していた人なら熱くならない
わけがない描写と言えよう。
監督は相当な「ベスト・キッド」ファンだろう。
細かい、描写に要素を詰め込んでくる、
しかもタダの引用にさせないところに
愛があった。

二つの「ひねり」

そして、オマージュがはっきりと
効果的だと分かるのが、二つの
ひねりを入れている点だ。

一つは、最後まで九太と熊徹は「罵声
で心を通わせている点だ。
どんなに、互いが窮地に陥ろうとも、
頑張れ!」みたいなベタな言葉ではなく
早よ、立てよ!」と罵声を投げつける
ことによってパワーアップするのだ!
最初は九太が憎らしく思える程、
ムカつく奴に見えるが、
後半になるとそんな九太からの
罵声に涙腺が潤むブンブンがいる。
これぞ、細田マジックだ。

二つ目は、サブストーリー。
予告編でも、謎ストーリーである
女の子との絡みがある。
サマー・ウォーズ」でも、
使われた無駄にリア充描写を自然に
入れる細田守の強みがココデも
活かされている。
予告編では不自然でも映画だと結構自然だ!
しかも、「ベスト・キッド」で描かれる
主人公の成長を示すラストバトルに
大きく関与させているのだ。
バケモノの世界のアジアン感とは裏腹に、
ちゃんとジャパニーズカルチャー
青春描写を描いている点素晴らしいと感じた。

マジで泣けました…

変な映画を絶賛する傾向の強い、
ブンブンを唸らす、
涙腺刺激しまくり、
子育てするお父さんや
高校の部活時代のノスタルジーに
触れたい人にぴったりの作品でした。

ラストバトルも2部構成で「ベスト・キッド」
さながら興奮すること間違いなしですぞー!

↑主題歌Mr.Childrenの「Starting Over」です。

関連項目

「海街diary」レビュー


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