感想

2021映画

【カンヌ国際映画祭特集】『ハデウェイヒ』敬虔と社会不適合者

修道女志望のCéline van Hadewijchは、勉強していた修道院を出るように言われ、パリの両親の家に戻った。セリーヌは10代のイスラム教徒の友人ヤシーヌ・チクとカフェで出会い、一緒に過ごすようになる。Célineは、自分は神に誓っているし、自分の体は神のものだから処女のままだと、彼はただの友達だと言う。YassineはCélineに兄で宗教家のNassir Chikhを紹介し、10代の少女を彼の宗教セミナーに参加するように誘う。しかし、Nassirの正体はテロリストであり、混乱しているCélineは彼の組織にとって完璧な道具であった。

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【ネタバレ考察】『映画大好きポンポさん』映画とは時間のエンターテイメントだ!

杉谷庄吾【人間プラモ】の同名コミックを劇場アニメ化。大物映画プロデューサーの孫で自身もその才能を受け継いだポンポさんのもとで、製作アシスタントを務める映画通の青年ジーン。映画を撮ることに憧れながらも自分には無理だと諦めかけていたが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりの楽しさを知る。ある日、ジーンはポンポさんから新作映画「MEISTER」の脚本を渡される。伝説の俳優マーティンの復帰作でもあるその映画に監督として指名されたのは、なんとジーンだった。ポンポさんの目にとまった新人女優ナタリーをヒロインに迎え、波乱万丈の撮影がスタートするが……。「渇き。」の清水尋也が主人公ジーン役で声優に初挑戦。新人女優ナタリーを「犬鳴村」の大谷凜香、ポンポさんをテレビアニメ「スター☆トゥインクルプリキュア」の声優・小原好美がそれぞれ演じる。監督・脚本は「魔女っこ姉妹のヨヨとネネ」「劇場版『空の境界』第五章 矛盾螺旋」の平尾隆之。

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『唐人街探偵 東京MISSION』メガ密のユートピア/分断される世界への処方箋

チン・フォン(リウ・ハオラン)&タン・レン(ワン・バオチャン)が日本へ降り立つ。飛行機内でドカ食いをした為、ゲリラゲリに襲われるタン・レンだったが、息をつく間もなく、妻夫木聡演じる野田昊が出現し、そのまま群れのアクションが展開される。一見、通俗ながらもこのアクション一つから滲み出るジョン・フォードの趣に感銘を受ける。総勢72名ものアジア人が彼らめがけて突進してくると思いきや、彼らそっちのけで大乱闘を繰り広げる。リュックを背負ったヲタクと思われる人はゼエゼエ言いながら階段を駆け上がり、飛び蹴りする男たちの狭間の中で、ゴミ箱を被せられた男は階段から落ちてゆく。赤のキャビンアテンダントと紺のキャビンアテンダントが階段で殴り合いをする中、飄々と闊歩する野田。「ウェルカム・トゥ・トーキョー」と観客もろとも不思議の国ニッポンへ引きづりこまれるのであります。違和感しかないトーキョー描写がメガ密空間で描かれるのだが、まさしく『静かなる男』の均等かつ繊細に押並べられていく個性の連動、群れの躍動感にノックアウトされていき、「日本っていいな」と説得されていってしまう。

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『暗くなるまでには』アノーチャ・スウィチャーゴーンポン、記憶を継承すること

映画は学生運動の結果、軍に拘束されてしまった状況を再現し、白黒写真へと変換していく。さらにはインタビューの内容を再現したりと、ドラマとして再現したりとありとあらゆるフォーマットを使って自在に行き来する。さらには、魔法のキノコやサイケデリックな映像、デヴィッド・リンチばり(明らかに『ロスト・ハイウェイ』を意識した場面がある)の怪しげな空間に包み込んでいくためプロットを追うのは至難の業だ。

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【アフリカ映画】『This Is Not a Burial, It’s a Resurrection』レソトのおばあちゃん念を放つ

仄暗いバーのような空間をゆっくりゆっくりと360度パンさせながら、怪しげな男にフォーカスがあたる。彼は、レソトのとある物語を語りはじめる。ダムの建設で失われつつある村。宇宙人のようにも見える黄色い作業着を身に纏った男たちが不気味に画面に映り込む。そして、それを凌駕するようにMantoa(Mary Twala) の大樹のように深みのある彫りと反射が特徴的な悲愴顔が画面を支配する。このおばあちゃんは、村人が故郷を諦め新天地を探そうとすることに抵抗する唯一の婆さんとして登場する。子どもたちは皆死んだ。自分の人生もそんなに長くない。しかし、レソトの記憶毎ダム建設によって死んでしまうのはいかがなものか?彼女は喪服を着て、村人の前に立ち圧をかけ、孤独の戦いに挑む。しかしながら、時は刻々と前へ突き進んでしまう。