感想

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『FRONTIER(服部正和)』彼は日本のSF映画史を変えるかもしれない

昨年、知人から服部正和監督の『FRONTIER』が面白そうだと話を聞いた。予告編を観ると、日本インディーズ映画ながらも『インターステラー』のような壮大なSF映画を彷彿させる世界観に惹きこまれ、観たいなと思っていた。先日、オンライン開催される第22回ハンブルク日本映画祭で配信されると聞いて、急遽観ました。何も知らない方が楽しめる作品な為、紹介するのが難しい作品ではありますが、今後日本映画界に世界と闘える本格SF映画が生まれるのではと思わずにはいられませんでした。というわけで軽めの感想書いていきます。

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【ネタバレ考察】『フリー・ガイ』They Did

ウォルト・ディズニー配給でありながらディズニー+行きを免れた『フリー・ガイ』。2010年代以降流行したゲーム世界映画に名を刻む作品であるが、ストーリー面でとても評価されている。微妙に忙しく、中々観に行く時間が取れなかったのですが、これは劇場で観た方が良さそうだと思いTOHOシネマズ海老名に行ってきました。監督のショーン・レヴィと言えば、『ナイト ミュージアム』シリーズや『インターンシップ』、『リアル・スティール』といった年間ベスト級でないものの気楽に楽しめる娯楽映画の名匠。その名に恥じず、今回もNice Guyな映画を作ってきました。今回はネタバレありで語っていきます。

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【アフガニスタン映画】『カブールの孤児院/The Orphanage』アフガニスタン、インドとソ連に邂逅

イスラム原理主義武装勢力タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧した。ガニ大統領が国外逃亡し、それに伴い多くのアフガニスタン市民が国外逃亡しようと輸送機に押し寄せている状況がニュースで流れている。今回紹介する『The Orphanage』監督であるShahrbanoo Sadatも現在国外脱出を試みている状態である。MUBIにて『The Orphanage』が配信されているので、今回感想を書いていきます。

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【MUBI】『5月の後』結局、結局、社会のレールに乗ってしまうのさ

MUBIにオリヴィエ・アサイヤスの『5月の後』が来ていました。1960年代、学園闘争は世界各地で発生していた。そして70年代になると、結局大人や社会によって潰され、「暴力で世界は変えられない」と悟ったのか若者はそれぞれの道を歩み始め、運動は下火になっていった。そんな70年代前半、運動にのめり込んでしまった者のイタさを描いた青春映画だ。その前に、5時間30分にも及ぶテロリストの活躍を描いた『カルロス』を撮ったアサイヤス監督が少し肩の力を抜いて作った、暴力の内側に入ろうとして外側に押し出される者による青春の蹉跌。これがとても面白かった。

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『みんなのヴァカンス』ギヨーム・ブラックは『おおかみこどもの雨と雪』がお好き

夏ですね、大人も夏休みですね。夏といえばバカンス映画ですね。数週間の休暇を取る文化があるフランスでは、毎年のようにバカンス映画が量産されている。カイエ・デュ・シネマの批評家もバカンス映画には目がなく、年間ベストにねじ込む傾向がある。さてエリック・ロメールはもはやおらず、ジャック・ロジエも映画を作らなくなってしまった時代のバカンス映画のスター監督は誰か?恐らく、ギヨーム・ブラックだろう。彼の作品は、ジャック・ロジエ映画に登場する女々しい男の目線でナヨナヨしたバカンス映画を撮る傾向がある。この気持ち悪さが癖になる監督だ。さてそんな彼の新作『À L’abordage』。フランス語で、「搭乗」、「偶発的な衝突」、「船が海岸に近づく行為」を示す言葉とのこと。ワンナイトラブをしてすっかり惚れ込んだ男が、彼女のいる場所に近づく。一緒について行った友人が別の女と邂逅、親密になると言う内容を暗示したタイトルになっているのであろう。ということで観てみました。

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『ドント・ブリーズ2』ドント・ブリーズでなければ良かったけど…

2016年に話題となったホラー映画『ドント・ブリーズ』まさかまさかの続編がやってきました。目が見えないのに最強の老人の手によって血祭りに挙げられる若者を描いた異色作。一発芸的面白さを続編はどう乗り越えるのかが課題となってきます。しかし、予告編を観ると主人公はスティーヴン・ラング演じる老人ではありませんか。前作を思い返すと、変態爺さんだった記憶があり、ヒーローに持ってくるにはなかなか難しい状況。いつもであれば公開前にインフルエンサーたちの熱い評がTwitterを賑わせるのですが、それが全く確認できなかった。一抹の不安を抱えて観たのですが、これが厄介な映画でありました。

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『マンディブル 2人の男と巨大なハエ』うさんぽの次は「ハエんぽ」だ!

殺意を持ったタイヤを描いた『ラバー』、語りかける革ジャンを描く『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』と変わった映画を撮り続けるフランスの《クエンティン》ことカンタン・デュピュー新作はハエ映画だった。今年は『GUNDA』、『ジャッリカットゥ 牛の怒り』、『セミマゲドン』と動物映画が熱いのですが、このハエ映画はいかがだろうか。実際に観てみました。