2021映画

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【ドン・ハーツフェルト特集】『明日の世界』原始的無意識への渇望

少女エミリーはある日遠い未来からの交信を受ける。同じくエミリーと名乗るその女性は、彼女のクローンなのだという。未来のエミリーは、少女エミリーを、彼女の暮らす未来の世界へと連れていく。そこで待ち受けていたのは、「死」が消えて、永遠に生きることを余儀なくされた人々の、ボンヤリとして切ない人生の物語だった。

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『最後にして最初の人類』ヨハン・ヨハンソンは天空から囁く

「メッセージ」「ボーダーライン」「博士と彼女のセオリー」などの映画音楽を手がけたアイスランド出身の作曲家で、2018年に早世したヨハン・ヨハンソンが生前に取り組んだ最初で最後の長編監督作品。1930年に発行されたオラフ・ステープルドンの同名SF小説の古典を、アカデミー賞女優ティルダ・スウィントンのナレーション、全編16ミリフィルムで撮影された旧ユーゴスラビアに点在する巨大な戦争記念碑・スポメニックの映像群、ヨハンソンが奏でるサウンドにより映像化。もともとはシネマコンサート形式で生演奏とともに上映されていた作品で、仲間たちの尽力により、ヨハンソン没後2年の時を経て1本の長編映画として完成された。

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【 #死ぬまでに観たい映画1001本】『チェド』セネガル政府「Dがひとつ多いから上映禁止ね」

「死ぬまでに観たい映画1001本」アフリカ映画枠としてセンベーヌ・ウスマンの『チェド』が掲載されている。本作はセネガル映画し、もといセンベーヌ・ウスマン論を語る上で最重要作品となっている。汚職とセクハラにまみれた官僚が、女の呪いで不能となり地位が失墜していくブラックコメディ『XALA』で政府に目をつけられてしまったセンベーヌ・ウスマンは本作でセネガル政府からタイトルのスペルが間違っている。Dがひとつ多いという謎の理屈で上映禁止処分となった作品だ。意外と未観だったので挑戦してみました。

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【アフリカ映画】『MANDABI』文学から映画に乗り出したセンベーヌ・ウスマンからの強い想い

最近、クライテリオンからセンベーヌ・ウスマンの『MANDABI』がカッコいいヴィジュアルでブルーレイ化された。アフリカ映画、特にセンベーヌ・ウスマン作品は私の関心を惹きつけているのでWHY NOT?有無言わさず購入しました。本業が繁忙期だったこともあり、数ヶ月放置していたのですがようやく観ることができました。本作は『チェド』や『XALA』以上に、センベーヌ・ウスマン論を語る上で重要な一本であることが分かったので感想を書いていこうと思う。

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【ネタバレ考察】『とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー』モルカーボールという名の発明※3D版観賞レポート

ここ数年、SNSでの口コミの拡散力が良い意味でも悪い意味でも壮絶だ。『カメラを止めるな!』が劇場公開館数2館からTwitterでの口コミきっかけでTOHOシネマズにまで拡大公開が決まり、それは世界にまで発展した。「100日後に死ぬワニ」もあっという間に身近で知らない人はいないほどにまで拡散した。今は、「チェンソーマン」の藤本タツキ新作短編「ルックバック」が凄まじい勢いで拡散し、もうすでに鎮火の傾向にある。流行の高速で広がり、高速で終わる。そして時期が過ぎると『100日間生きたワニ』のように批判の声が大きくなる。恐ろしい時代である。そんな中、「モルカー」は超絶技巧のマーケティング戦略で、まさかまさかの映画化にまで漕ぎ着けた。『100日間生きたワニ』の興行が伸び悩んだのに比べ、こちらは2日前から4D上映は満席になる程の大盛況で、今回私が訪れたTOHOシネマズ上野も満席または座席数残り僅かとなる程の大人気っぷりであった。ストップモーションアニメ全12話を映画館で上映するたった30分ぐらいの作品。それだけなら、そこまでヒットしなかっただろう。だが、どうしてここまで大人気になれたのか?私は映画館で、その新しい興行スタイルに触れて確認してきました。今回は、「モルカー」の内容よりかは興行スタイルのユニークさを中心に語っていこうと思います。一応、後半で各エピソードの感想を書いていこうと思います。短編故、ネタバレ記事とします。

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『ヴィクトリア(2020)』沙漠を彷徨う魂は生を岩に刻んだ

イメージフォーラムで上映されているサニーフィルムドキュメンタリー映画2作品。『クレストーン』に引き続き、『ヴィクトリア』を観賞しました。本作は第70回ベルリン国際映画祭でカリガリ賞を受賞している。カリガリ賞といえば、春先に公開された『ハイゼ家 百年』(こちらもサニーフィルム配給)やチリの壮絶なストップモーションアニメーション『THE WOLF HOUSE』、7時間半の伝説的白黒映画『サタンタンゴ』などが受賞している。日本からも園子温監督の『愛のむきだし』が受賞している。ラインナップを見ると分かるとおり変わった映画が受賞していることが多い。そして『ヴィクトリア』も例に漏れず変わった映画であった。

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『レニ』逃げ場がない人間の行動心理

東京五輪ですね。よくあるギャングスタ映画の栄枯盛衰を観るかのごとく、日に日にフィクションを超えた崩壊っぷりを魅せている。開会式で楽曲制作を担当したミュージシャンの小山田圭吾が過去に雑誌のインタビューでイジメについて告白していたことが明らかとなり、大炎上し開会式数日前に辞任を表明する事態となっている。さて、アーティストが過去の罪を払拭できるのか?といった問題を考えた時に、レニ・リーフェンシュタールのことが頭に浮かぶ。彼女はナチスドイツに見出され、ヒトラーの右腕監督としてプロパガンダ映画を制作した。実質無限ともいえる潤沢な予算を使って、全国党大会を収めた『意志の勝利』や1936年ベルリンオリンピックを撮った『オリンピア』を製作した。後者は、様々な技巧を凝らし映画史に残る傑作となった。しかし、ナチスドイツのプロパガンダに協力したということで長年、社会に罪を追及され映画が撮れなくなってしまった。さて、晩年の彼女にインタビューした映画『レニ』がある。第69回キネマ旬報ベスト・テンにも選出された作品であるが、数年前までは渋谷TSUTAYAにVHSがあるくらいで観る手段がなかった。