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『カポネ』黄昏のスカーフェイス

アル・カポネといえば、禁酒法時代に酒、売春、賭博で一大組織を作り上げた犯罪王だ。そんなアル・カポネの映画ときいたら、熱いドラマをイメージするだろう。しかしながら、『カポネ』ではひたすら情けないアル•カポネしか描かれていない。歴史に名を刻む人物であっても、情けない引き際はあると語ると同時に、本作ではジョシュ・トランクの陰鬱な精神状態が世界を侵食している。アル・カポネの話なのに、『バートン・フィンク』の世界に紛れ込んだジョシュ・トランク自身が見えてしまっている狂った映画なのだ。

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『北の橋』ドラゴンの滑り台とガチ喧嘩する女

パリのライオン像に向かって煽り運転するバチスト(パスカル・オジェ)、刑務所から出所し彷徨う女マリー(ビュル・オジエ)が激突する。ガール・ミーツ・ガールだ。何故か、マリーのことをストーカーし始めるバチスト。マリーには恋人がいるらしいのだが、彼は何かの陰謀と戦っているらしい。バチスとはその恋人のカバンを奪い、中から地図を見つける。ヘブライ語で描かれた目印、パリの地図にぐるぐると蜘蛛の巣状に張り巡らされたものを見て、これは双六だと妄想を膨らませる彼女たちは、地図を頼りにミッションをクリアしていく。

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『Fourteen』脆い友情への処方箋

本作では対照的な女性マーラとジョーにフォーカスが当たっている。昔からの友達である二人。マーラは保育園で働いており、きめ細かく面倒見が良い。一方でジョーは精神が不安定なソーシャルワーカーである。お金をカバンにドサっと入れていたり、申請書を一人で書けなかったり、一緒に歩いていたら急に消えてブラウニーを買い始めたりとなかなかの社会不適合者である。そんな彼女のことを救えるのは自分しかいないとマーラは手を差し伸べ続けるのです。友人はほっとけないと。

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『ロード・オブ・カオス』停滞に鮮血、それは絶望か希望か?

「メイヘム」を描いた伝記的本作は、音楽伝記映画にもかかわらずテンションは一定を保っている。てっきり、ミュージシャンのドラマティックな人生が展開されるのかと思いきや、停滞に停滞を重ね、微かなステージに立つ時だけが盛り上がりの絶頂となっている。予告編でも魅せてくれる教会炎上シーンも、静かで地味だったりする。これはどういうことだろうか?先日観たデヴィッド・クローネンバーグの『クラッシュ』に近いものを感じた。内なる暴力性の静かな爆発に癒しを求める者たちが停滞のモヤモヤの中で自己を解放させる場所を追い求めているのではないだろうか?彼らは満足しない。あまり客がこないレコード屋で駄話をし、部屋の一角で練習をする。一般人の平凡な人生と変わりない。その中で些細な変化を求める者たちのもがきが生々しく描かれている。だから、伝説的ミュージシャンの遠い世界の物語ではなく、我々の物語のようにみえるのだ。今、コロナで閉塞に押し込められ、微かな変化を求めてもがき苦しむ者にとってこの作品は救いの処方箋となることでしょう。

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【ネタバレ考察】『無頼』井筒和幸のジャパニーズマン

マーティン・スコセッシがギャングのクロニクルを『アイリッシュマン』でスタイリッシュに描いていた。日本では今『ヤクザと家族』、『すばらしき世界』、『孤狼の血 LEVEL2』と空前のヤクザ映画ブームとなっているが、そこに井筒監督は重厚なクロニクルとして『無頼』を置いた。アイリッシュマンに対して、これがジャパニーズマンであると言いたげに。