『冷たい水』破壊願望の炎と冷めた水

冷たい水(1994)
L’eau froide

監督:オリヴィエ・アサイヤス
出演:ヴィルジニー・ルドワイヤン、シプリアン・フーケ、ラズロ・サボ、ジャン=ピエール・ダルッサンetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

日仏学院メディアテークでオリヴィエ・アサイヤスの『冷たい水』を借りてきた。本作はアルテ製作のテレビ映画シリーズ《Tous les garçons et les filles de leur âge(同年代の少年少女のすべて)》で作られた作品を長編化した内容である。本企画は映画プロデューサーであるシャンタル・プポーが、1960~90年代までの任意の時代のポップ音楽を取り込んだ1時間程度の低予算青春映画を新気鋭の監督に撮らせひとつのシリーズにするといった企画であった。この企画のラインナップが以下の通りである。

アンドレ・テシネ『かしの木と葦』▷劇場編集版タイトル『野性の葦』
クレール・ドゥニ『U.S. Go Home』
シャンタル・アケルマン『ブリュッセル、60年代後半の少女のポートレート』
オリヴィエ・アサイヤス『白いページ』▷劇場編集版タイトル『冷たい水』
ロランス・フェレイラ・バルボザ『Paix et Amour』
パトリシア・マズィ『Travolta et Moi』
エミリー・ドゥルーズ『L’Incruste』
セドリック・カーン『Bonheur』▷劇場編集版タイトル『幸せ過ぎて』
オリヴィエ・ダアン『Frères』▷ベルリン国際映画祭上映時タイトル『Frères : La Roulette rouge』

今からするとあまりにも豪華なメンバーであろう。何気にジル・ドゥルーズの娘であるエミリー・ドゥルーズの『L’Incruste』があるのが興味深い。

そして、総じてレベルが高いことで知られているのだが、『冷たい水』もまたパワフルな一本であった。

『冷たい水』あらすじ

1972年の冬。日常生活のつまらなさに耐えかねた少女が、同級生の少年と共に森の奥へと逃げ出す。アメリカン・ロックの響きが、彼女たちの感情を揺さぶる。
16mmカメラを用い、低予算、短期間で撮られた本作を、
監督は「まるでアンダーグランド映画を撮っているようで、70年代の雰囲気が自ずと甦ってきた」と回想する。
ロックと若者たちの躍動がエモーショナルに交錯する。

IVCより引用

破壊願望の炎と冷めた水

本作は若者の行き場のない感情を炎と水のモチーフで表現している。若干、安易な記号な気もするがそれでも画のインパクトがあるので惹き込まれる。序盤は顔のクローズアップでもって精神が不安定な若者の、彼ら/彼女らをコントロールしようとする大人を捉えていく。やがて若者はダイナマイトを用意し、逃亡。廃屋でガラスをやり、炎にいろんなものを投げる。破壊願望が結実した高揚、同志たちの熱気、ドラッグによる酩酊が空間を支配するのだが、やがて孤独が押し寄せて来る。この孤独はタイトルにもなっている冷たい水として表現されており、寒々しい田舎風景と水、ぽつんと立つ若者でもって表現されている。恐らく本作は短編版の方が良かった可能性があり、90分の映画としてはやはり記号的過ぎる気がした。