ソフト/クワイエット(2022)
監督:ベス・デ・アラウージョ
出演:ステファニー・エステス、オリビア・ルッカーディ、エレノア・ピエンタetc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第76回 ベルリン国際映画祭コンペティションにベス・デ・アラウージョの『Josephine』が選出されたので、過去作の『ソフト/クワイエット』を観た。
『ソフト/クワイエット』あらすじ
マイノリティへの偏見を持つ白人女性たちがあるトラブルをきっかけに取り返しのつかない事態に陥っていく様子を全編ワンショット&リアルタイム進行で描いたクライムスリラー。
郊外の幼稚園に勤めるエミリーは、「アーリア人団結をめざす娘たち」という白人至上主義グループを結成する。教会の談話室で開かれた初会合には、多文化主義や多様性を重んじる現代の風潮に不満を抱える6人の女性が集まる。日頃の鬱憤や過激な思想を共有して盛りあがった彼女たちは2次会のためエミリーの家へ向かうが、その途中に立ち寄った食料品店でアジア系の姉妹と口論になってしまう。腹を立てたエミリーたちは、悪戯半分で姉妹の家を荒らしに行くが……。
「ゲット・アウト」のジェイソン・ブラムが製作総指揮を手がけ、これが長編デビュー作となるベス・デ・アラウージョがオリジナル脚本・監督を務めた。
ワンショットありきに疑問
本作は人種差別的発想を持つ人たちが群となり、やがてヘイトクライムへ発展していく様を全編ワンショットで描いている。集会が開催され、そこで波のように感情が荒ぶる瞬間が現出する。それを止めたり、ドン引きする者が現れるが、段々と制御が外れていき、やがては見せに現れたアジア系女性の家に押しかけ暴力を振るう。
たしかに、こうした事件は予兆こそあれども臨界点を超えるまではあくまで予兆にすぎない。その嫌な間延びした空気感を出すためのワンショットであることはわかる。しかし、映画を観ると誤魔化すようにカメラを上に向ける場面があり、ワンショットの技術力を見せびらかして賞賛を得ようとしている感が否めない。同じワンショット映画である『ヴィクトリア』はワンショットでどこまで行けるのか、すべてが終わった際の世界の見え方の変容が練り込まれており、ワンショットである意味を見出せたのだが、本作にはそれがないため鼻につくものがある。
また、映画が始まった当初から差別意識全開だったりする。無論、誰しも心に差別意識は飼っており、他者とのかかわりの中でそれをコントロールするのが人間である。だが、なぜその発想にいきついたかのプロセスがなく、ただ事件当日を描いているため、人間性に問題がある者の犯行レベルの話となっている。要は誰しもそうなりかねない現代といった普遍性に乏しいのだ。そして、終盤は露悪的な暴力が際限なくエスカレーションしていくだけなので悪い意味でストレスフルな作品であった。










