『UFO少年アブドラジャン』マシンの量り売りにより市場価格が崩壊しました

UFO少年アブドラジャン(1992)
ABDULLADZHAN, OR DEDICATED TO STEVEN SPIELBERG

監督:ズリフィカール・ムサコフ
出演:ラジャブ・アダシェフ、トゥイチ・アリボフ、シュフラト・カユモフ、トゥチ・ユスポワetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

アジア今昔映画祭にてウズベキスタンの名作『UFO少年アブドラジャン』を観た。本作はウズベキスタン本国で国民の6割が観た作品らしいのだが、この伝説には少し警戒した方が良い。クシシュトフ・キェシロフスキ『デカローグ』の国民視聴率が高かったのは単に当時のテレビ局が1社しかなかったからといった話同様、当時のウズベキスタンで上映されていた映画が『UFO少年アブドラジャン』しかなかった可能性があるからだ。

とはいえ、名作には変わりなく荒唐無稽な一本でありお正月のユーロスペースを笑いに包んだ。

『UFO少年アブドラジャン』あらすじ

ウズベキスタンの田舎町に、ロシアから、“目が赤くハゲた宇宙人”が乗っている未確認飛行物体がこの町にやって来るという知らせが届く。そのころ、いなくなった雄牛を探していたバザルバイは、裸で倒れている金髪の少年を発見した。惑星アルファ・ベータ・ツェントゥリオンからやってきたと話す少年はアブドラジャンと名付けられ、バザルバイの息子として村で暮らし始めることに。アブドラジャンが来てからというもの、村では珍現象が次々と起きるようになった。村人はクワで空を飛び、鶏は1分間に50個もの卵を産んだ、スイカやトウモロコシは巨大化し、産まれたばかりの子牛も1日で成長してしまう。そんな騒ぎを聞き付けて、やがて軍隊が動きだすのだが……。

マシンの量り売りにより市場価格が崩壊しました

本作はタイトル通り、UFO少年が地球に降り立つことから始まる。UFO少年には男性器がないのだが、おじさんは彼を受け入れる。しかし、彼の超能力に人々は困惑する。床屋のおじさんは彼を丸刈りにしたはずなのに秒で髪が伸びる様に驚かされる。また、お金を大きくする能力に喜ぶが、貨幣偽造罪で捕まることを恐れ、増殖する札束を火にリリースする中で原本まで燃やしてしまう。豪快なギャグでありながら映画ならではのカット割りや特撮の手数を披露してくれるのでちょっとした隠し芸大会のような趣がある。

しかし、物語後半になるとウズベキスタン社会、ロシア社会を匂わせるダークなギャグが挿入される。顕著なのは、計算機が増殖したため、量り売りが当たり前となり、市場価格が暴落したことにより日本企業が倒産に追い込まれる展開である。経済に絡むダークな笑いはサラリーマンである私からすると胃がヒリつくのである。

ウズベキスタン映画入門として良い映画であった。