孤独の午後(2024)
Afternoons of Solitude
監督:アルベール・セラ
出演:アンドレス・ロカ・レイ、アントニオ・グティエレス、フランシスコ・デュランetc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
カイエ・デュ・シネマベスト2025にて栄冠に輝いたアルベール・セラの闘牛ドキュメンタリー『孤独の午後』。昨年の東京国際映画祭時点では、サン・セバスチャン映画祭案件だったこともあり、韓国のBLアニメを優先してしまったのだが、私の周囲でやたらと評判が高く、そして想像以上にMUBIに中々来なくて、結局カイエ・デュ・シネマベスト発表後のMUBI鑑賞となった。ここ数年、アルベール・セラに対する自分としての評価が定まりつつありが、その理論はこのドキュメンタリーでも適用できることがわかった。
『孤独の午後』あらすじ
『パシフィクション』(22)に次ぐアルベルト・セラの新作。アンドレス・ロカ・レイ、パブロ・アグアドなど、人気闘牛士たちの日常生活を追ったドキュメンタリー。カメラは闘牛士たちがストイックに試合に備える姿を観察するかのようにとらえ、そして競技場での牛との闘いの一部始終を映し出す。危険極まりない牛との闘いに対峙する闘牛士たちの所作は神聖な儀式に臨む神官のようにも見え、その意味では闘牛のなかにある美や詩的要素に焦点を当てたと言える。だが、それと同時に、なぜこのような血、痛み、死をともなう競技が続けられているのかなど、様々なことを観客に考えさせる作品である。サン・セバスティアン国際映画祭コンペティションで上映された。
※東京国際映画祭サイトより引用
人は死ぬ、いつか死ぬ、だが今日じゃない
リムジンに乗せられ、闘技場へと向かう。闘牛士の顔は汗が滲み死を覚悟したようなものとなっている。緊迫感ある中、至近距離で牛と対峙する。ひらり、またひらりと交わしていくが、時に角がぶつかり、致命的な状況に陥る。だが、彼は緊急回避し、怒りを顕にしつつ堂々とした佇まいでショーをクローズさせる。死と隣り合わせの日々をルーティンとして描く。これは彼にとって日常なのだ。つまり人生の最終回ではない。だが、いつだって最終回のような心持ちで真剣勝負に出る。
カイエ・デュ・シネマのインタビューでフレデリック・ワイズマンとの類似性を尋ねられた際に『至福のレストラン 三ツ星トロワグロ』を鑑賞した上で、アルベール・セラはできるだけワイズマンから離れようとしたとのこと。確かにワイズマン作品における「役割の受容」の側面は本作にも適用できる。しかし、ワイズマンは個から群を通じて社会システムを描いたのに対し、アルベール・セラの場合はあくまで牛と向き合う個の人生に執着している。『騎士の名誉』『リベルテ』『パシフィクション』と一貫して個の間延びした日々を通じて物語の外側を描いてきたアルベール・セラにとってワイズマンから離れるためには個から群よりも群から個の関係に特化する必要があったといえる。段々とアルベール・セラ作品に惹かれるようになってきたのであった。












