『FEVER ビーバー!/Hundreds of Beavers』おっさんVS着ぐるみビーバー軍団

Hundreds of Beavers(2022)

監督:Mike Cheslik
出演:Ryland Brickson Cole Tews、Olivia Graves、Doug Mancheski、ブレンダン・スティアetc

評価:60点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

2025年、ビデオマーケット界隈では着ぐるみビーバー映画『Hundreds of Beavers』が話題となった。監督のMike Cheslikと主演のRyland Brickson Cole Tewsは近年注目すべき映画コレクティヴのひとつであり、ガイ・マディン『The Forbidden Room』にオマージュを捧げた『Lake Michigan Monster』で既に型が確立された。ガイ・マディンがサイレント映画の質感に拘っていたのに対し、このコンビはそれを援用しつつもYouTubeの短編コント動画のようなタッチでチープな編集を通じたスラップスティックを演出する独自の手法を開発した。『Hundreds of Beavers』は日本で彼らが知られるようになったきっかけとなった作品であり、全興連ニュースによれば配給が決まっているため2026年に劇場公開される可能性が高い一本となっている。『Lake Michigan Monster』の時点で彼らのことを注目していた私は早速本作を観てみたのだが、手法自体の限界が見えてしまった。

『Hundreds of Beavers』あらすじ

Action-comédie loufoque. Vendeur de cidre bourré doit affronter des centaines de castors pour conquérir sa belle. Costumes de mascotte hilarants!
訳:奇想天外なアクションコメディ。酔っ払ったサイダーセールスマンが、恋人のハートを掴むため、何百匹ものビーバーと戦わなければならない。爆笑必至のマスコットコスチュームも!

IMDbより引用

おっさんVS着ぐるみビーバー軍団

おっさんと着ぐるみビーバー軍団が決闘しているだけの内容なのだが、『Lake Michigan Monster』に引き続き圧倒的手数でもってドタバタコメディをやっているため楽しい映画ではある。バスター・キートン『セブン・チャンス』ネタからゲーム的SE、画面構図を自由自在に操り、他の映画では観られない映画体験とはなっている。しかし、この手のタッチはYouTubeのショートコント、例えばイキル者タチがやっている「僕のヒーローアカデミア」や「鬼滅の刃」パロディコントシリーズに近いものがあり、10分程度の連なりをコメント欄込みで楽しむやり方の方が相性が良い気がする。ウンコトラップの場面や、ビーバーが合体して巨人になる場面など明らかに観客のツッコミ待ちとなっている部分があるのだが、それは映画という原則観客対スクリーン、1対1の関係性で提示するにはもったいないフォーマットのように思える。ニコニコ動画のような弾幕があった方が寧ろ相乗効果で良い鑑賞体験になるような気がするのだ。また、ストーリー面は基本的にギャグでゴリ押している印象があり、内容自体の起伏は希薄に思える。日本には『クレクレタコラ』という数分の尺ながら洗練されたシナリオで進行するスラップスティックが存在するため、それと比較するとギャグで誤魔化されているように感じるのだ。とはいえ、1年に1度観る変わり種映画としては十分なインパクトがあるので嫌いには慣れない一本である。