青春 帰(2024)
Youth (Homecoming)
監督:ワン・ビン
評価:40点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
ワン・ビン縫製工場シリーズ最終章『青春 帰』をシアター・イメージフォーラムで観た。『苦い銭』『15 HOURS』含めたら24時間以上、このテーマと向き合ったことになるが、最後の最後で残念な結末を迎えることとなった。
『青春 帰』概要
「鉄西区」「三姉妹 雲南の子」「死霊魂」などの作品で世界的に高く評価される中国出身のドキュメンタリー作家ワン・ビンが、中国の巨大経済地域の縫製工場で働く若者たちの姿をとらえたドキュメンタリー「青春」3部作の第3部。前2作に続いて若き出稼ぎ労働者たちの日常を記録し、同じ中国人でも都市部に住む人々は知らない、ひとつの世代の運命を浮かびあがらせていく。
春節の休暇が近づき閑散とする織里の縫製工場。わずかに残っていた労働者たちも、それぞれの故郷で春節を祝うため帰省する。休暇中に結婚式を挙げる者もいるが、故郷には仕事がない。ミンイェンの故郷である雲南は寒く、家の中にいても手がかじかんでしまう。やがて休暇が終わり、労働者たちは工場に戻ってくる。新たに雇われた若い世代の出稼ぎ労働者たちも加わり、工場には少年少女の幼い声が響く。
2024年・第81回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。
ブレスト段階?
ワン・ビン縫製工場シリーズは毎回、同じように見えて軸がある。『青春 苦』の場合、社長夜逃げ問題から労働者の団体交渉を軸に添えている。今回はタイトル通り、工場/故郷の関係性を描いており、春節シーズンに故郷へ帰ろうとする者が、給料未払いのリスクを抱えながらなんとか報酬を受け取り、激密な列車、悪路極めし山道を乗り越え、オールザウェイ、まるでオデュッセイアがごとく凱旋する。しかし、故郷では結核を患った父や仕事のなさといった問題があり、「どう生きればよいのか?」といった実存の危機と対峙する。
親は結婚は別にしなくても良いと言うけれど、親を見捨て都会で独りになるにはどこか後ろめたさがある様と豪勢な結婚式により血が強固に結びつく様が待避される。
その構図の掘り下げがずっと続くのかと思いきやまた工場へ戻るのだ。しかも、本来であれば第一部でやるべきだろう仄暗い工場通りを彷徨い入門する過程。新入りの不器用男子がチャキチャキの女に煽られいじけるなどといった描写を掘り下げ始める。そこから1時間ぐらいは、帰郷のテーマから離れてしまいボンヤリとした、とりあえず素材が良いから入れました感の強い内容に陥ってしまった。
※映画.comより画像引用