フラットライナーズ(2017)
FLATLINERS(2017)

監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
出演:エレン・ペイジ、ディエゴ・ルナ、
キーファー・サザーランドetc
評価:30点
TOHOシネマズフリーパスでホラー映画『フラットライナーズ』を観てきた。予告編を観ると、午後のロードショーで放送されてそうなB級ホラー映画にみえる。雰囲気は私好みだ。しかしながら、ネットでの評判がすこぶる悪い。勇気を振り絞って観てみた。果たして…
『フラットライナーズ』あらすじ
医大生のネルソンは臨死実験で、新発見をしようと躍起になっていた。カノジョの元に集まる医大生仲間。そして臨死実験に成功する。しかし、彼らの前で怪奇現象が起きて…前半は良かった
1990年ジョエル・シュマッカー監督作(撮影があのヤン・デ・ボン)のリメイク。医大生が臨死実験してあらやだ大覚醒!でも幻覚見えちゃうぞ系ホラーだ。
前評判がかなり悪かったので、期待しなかったが、前半30分は良かった。前半30分は。
舞台は名門医大。医大生達は教授による罵声、難しい講義に地を這うようにして耐えていた。中には、夜中図書館で勉強するものの内容が入ってこず泣きだすものもいる。一方でチャラチャラしている輩もいる。大学の縮図を30分でじっくり魅せてくれた。これは正直面白く、このまま2時間やってくれ!と思った。
しかし、突然臨死実験が始まる辺りで雲行きが怪しくなる。「新発見できるかも!だから一瞬私を殺して!」頭がおかしい医大生である。そして、臨死実験が無事成功すると、その医大生は覚醒し授業でファインプレーを連発するようになる。それに続けと他の医大生もこぞって臨死をし、覚醒していく。と同時に医大生たちは幻覚に悩まされていく。
この撮り方が、明らかに臨死ではない。まるでドラッグ中毒になった人の禁断症状を映像化しているようにしか見えない。それもアノロフスキーのアレ並みにトラウマ演出だったら面白かったものの、ワンパターンゴリ押し。不意打ちしかしない演出に流石にムカついてきた。また、その幻覚が潜在意識にある罪悪感だと言うことは観客に秒速で伝わるものの、「えっだから?」「えっそんなんでいいの?」と思ってしまう浅い展開に辟易した。
終いには、医大生感がゼロになってしまい、これはドラッグ、ダメ、ゼッタイ映画にすらなっていなかった。
このオチに文句を言いたい!
この映画、最大のダメダメポイントはオチにある。親からスパルタ教育を施されていた黒人の医学生ソフィア。彼女は臨死実験を通じて、高校時代に学年トップになろうと、ライバルのスキャンダル写真をハッキングで入手し、学校中にばらまいた罪悪感に悩まされるようになる。臨死を通じて過去が恐怖の産物としておそってくるのは良いのだが、その解決方法が、そのライバルのところに行って「あの時はごめんね、てへ☆」とするだけなのだ。そして相手はすんなり許す。
これ、学生時代にいじめに遭っていた人なら分かると思うが、この手のいじめって大人になっても憎悪としてずっと残るもの。それだけに、アソコまで罰が軽いと興ざめする。というよりかは、てめーこんやろーとスクリーンの中に入っていき、殴りたくなります。
恐らく、監督のニールス・アルデン・オプレヴは、悪夢となるような過去を持っていなかったのだろう。また、いじめとは無縁だったのだろう。それだけに、ちょっと謝ったり、反省すれば許されてしまうド畜生映画となってしまい、不満が積もりに積もりました。
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