【第25回東京フィルメックス】『ブルー・サン・パレス』もうひとつのアメリカ

ブルー・サン・パレス(2024)
原題:藍色太陽宮
英題:Blue Sun Palace

監督:コンスタンス・ツァン

評価:40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第25回東京フィルメックスにて『ブルー・サン・パレス』を観た。事前評判は高く演出意図も明確でありながらも疑問が残る作品であった。

『ブルー・サン・パレス』あらすじ

ニューヨークのクイーンズの中国式マッサージ店に住み込みで働くエイミーとディディ。彼女たちはディディの幼い娘が叔母と暮らしているボルチモアで一緒にレストランを開くことを夢見ながら、強固な姉妹的関係を築いている。一方、ディディは建設作業員として働きながら台湾の家族に送金している中年男性のチュンと付き合い始めており、彼と一緒に暮らすことも望むようになる。しかし、予期せぬ暴力行為が旧正月に彼らの生活に侵入すると、彼らの夢は脆くも崩れ去り、痛ましい不在が残される……。本作が初長編監督作となるコンスタンス・ツァン監督は、撮影監督ノーム・リーの力を借りて、この長引く悲しみをざらついた質感と陰鬱な映像で美しく表現する。沈黙が何よりも雄弁に物語を語り、移民であることの孤独、そしてかつて故郷と呼んでいた場所から遠く離れた時に家族やコミュニティのような存在がどれだけの意味を持つかを静かに訴えかけている。カンヌ映画祭の批評家週間で上映され、フレンチ・タッチ賞を受賞した。

※第25回東京フィルメックスより引用

もうひとつのアメリカ

本作は『空室の女』同様、現実においてフォーカスがあたるであろう人の「外側」を捉えることで閉塞を描くアプローチが取られている。

全体的にクローズアップのショット、室内での場面が多く中国の話かと思うが段々とそこがアメリカであることが分かる。まさしくもう一つの「アメリカ」の映画である。

移民として生きる者の危機を描くがスペクタクルとして過度に盛り上げることなく静謐の中に嫌な手触りを与えていく。適度に絵画的広い空間と人の関係性、静的な画を入れ映画を映画たらしめるものへと昇華させているわけなのだが、今回はこの語り口と自分との相性が悪く乗れなかった。

悪くはないとは思うのだが。