【第25回東京フィルメックス】『無所住』自然に流れる時間

無所住(2024)
原題:無所住
英題:Abiding Nowhere

監督:ツァイ・ミンリャン
出演:リー・カンション

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第25回東京フィルメックスでツァイ・ミンリャンの「行者」シリーズ第10弾『無所住』を観た。『何処』が凄まじい作品だったのに対し、本作は通常の「行者」回だった印象が強かった。

『無所住』あらすじ

マレーシア出身の台湾の巨匠ツァイ・ミンリャンの演出、リー・カンションの主演による「行者(Walker)」シリーズの第10作目。9作目の『何処』に続き、アノンも出演している。スミソニアン国立アジア美術館の委託を受けて制作された作品で、同美術館のあるワシントンDCの街やフリーア美術館を舞台に、有名な文学作品『西遊記』の着想源となった7世紀の仏僧玄奘(三蔵法師)の中国からインドへと至る巡礼の旅からインスパイアされた、非常にゆっくりとした修行僧の歩みが捉えられている。ベルリン映画祭のベルリナーレ・スペシャル部門で世界初上映された。

※第25回東京フィルメックスより引用

自然に流れる時間

川が流れる側をリー・カンション演じる「行者」がゆっくりゆっくりと歩く。川の流れよりも遅く歩く彼の姿を通じて我々は時間を意識させられる。修行僧のような振る舞いをする彼のピンとした背筋は、壁に描かれた境界線を通過するときに明確となる。

本作では自然に流れるゆったりとした時間と美術館に流れる時間、モニュメントを背にした時間を重ね合わせることで、人類の歴史を体現したようなものとなっている。ただ、今回はそれだけに留まってしまった印象が強かった。