おんどりの鳴く前に(2022)
原題:OAMENI DE TREABĂ
英題:Men of Deeds
監督:パウル・ネゴエスク
出演:ユリアン・ポステルニク、ヴァシレ・ムラル、アンゲル・ダミアンetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
以前、年間ベスト配信で済東鉄腸さんが挙げていたルーマニア映画”Men of Deeds”が邦題『おんどりの鳴く前に』で2025年1月24日(金)より公開が決まった。試写で一足早く観させていただいたのでレビューを書いていく。
◾️済東鉄腸さんの2022年ベスト
1.Broadway(Cristos Massalas,2022)
2.インフィニット・ストーム(マウゴジャタ・シュモフスカ,2022)
3.クロンダイク(Maryna Er Gorbach,2022)
4.おんどりの鳴く前に(パウル・ネゴエスク,2022)
5.A Little Love Package(Gaston Solnicki,2022)
6.ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(ライアン・クーグラー,2022)
7.Scheme(Farkhat Sharipov,2022)
8.Kalev(Ove Musting,2022)
9.Kumbuka(Petna Ndaliko Katondolo,2021)
10.Rubicón(Manuel Muños,2020)
『おんどりの鳴く前に』あらすじ
ルーマニア・モルドヴァ地方の静かな村の中年警察官イリエ。野心を失い鬱屈とした日々を送っている彼の願いは、果樹園を営みながら、ひっそりと第2の人生を送ること。しかし平和なはずの村で惨殺死体が見つかったことをきっかけに、イリエは美しい村の闇を次々と目の当たりにすることになる。正義感を手放した警察官がたどり着く、衝撃の結末とは―。
※カルチュアルライフより提供
だらしなく着た「服」に忍び寄る悪
中年警察官のイリエは警察官であるが、退屈な人生に嫌気が差し、果樹園を営もうとする。そんな中、惨殺死体が見つかったことでイリエは善悪の彼岸に立たされることとなる。シンプルな話ながら、誰しもが陥ってしまう悪の同調と葛藤を「服」の扱いでもって紡ぎあげる。イリエは、警察官の制服をだらしなく着ながら勤務している。「警察官」という与えられた役割から抜け出してセカンドライフを謳歌したい空気感が彼の服から紡がれる。そんな彼に対して、真面目な若手警察官が立ち憚る。イリエはヒョこんなことから、惨殺事件の犯人を知る。村の中の同調圧力を強化する存在へと仕立て上げられる。その時、彼は私服となる。そして若手警察官に「そんな聞き込み調査をしても無駄だ。諦めろ。」と説得するのである。原題の”OAMENI DE TREABĂ”は「善良な人々」と「こちら側人々」の意味を持つ。つまり、イリエがセカンドライフを謳歌する善良な市民になるためには、村に同調し「悪は存在しない」ことにする必要があるのだ。だらしない服の着こなしから、悪の道へと引っ張り出されそうになる彼は葛藤し再びビシッと制服を着た時、血生臭い戦いが勃発する。「善良な人々」の強烈な代償に圧倒されたのであった。
※映画.comより画像引用